五輪で勝利目指すアスリート、裕福な個人スポンサーの支援が不可欠に

  • 保険業界で富築いたウェルズ氏、7種競技選手を支援-金メダル獲得
  • 五輪に採用される競技にも影響-レスリング除外回避でキャンペーン
金メダルを獲得して祝福を受けるジェシカ・エニスヒル氏(ロンドン五輪、2012年) 写真家:Ezra Shaw /ゲッティイメージズヨーロッパ
写真家:Ezra Shaw /ゲッティイメージズヨーロッパ

英国の陸上7種競技選手ジェシカ・エニスヒル氏は、けがのため2008年の北京五輪に参加できず、他の競技会の欠場も余儀なくされ、12年のロンドン五輪出場の可能性が遠のきつつあった。

  そこに現れたのが、保険業界で富を築いた慈善家バリー・ウェルズ氏だ。同氏は可能性を信じ、エニスヒル氏の用具代や信頼する理学療法士の移動費を負担することに同意した。エニスヒル氏はロンドン五輪で金メダルを獲得。同氏はウェルズ氏が資金援助した18人のアスリートのうちの1人だ。

  今年の平昌五輪でも、アスリートらは参加に至るまでに勇気や実力以上のものが必要だった可能性がある。アスリートはトレーニング費用の増加を受け、あらゆる手段で資金を調達しなければならなくなった。そうした資金ニーズに、裕福な個人スポンサーが気前のいい趣味とでも言う形で応えるケースが増えている。

  資産家で投資家のトニー・プリツカー氏は、10年余り前から米スキー・スノーボード協会を通じてトップのスキー選手に資金援助を行っている。

トニー・プリツカー氏

フォトグラファー:Patrick T. Fallon / Bloomberg

  プリツカー氏は「ほぼ全てのアスリートとその家族は世界レベルで競技するために大きな犠牲を払っている。彼らのひたむきさは称賛と支援に値する。私の7人の子供にとっても素晴らしいお手本だ」と話す。

  政府から五輪チームへの資金援助がない米国では、特に個人スポンサーの支援が不可欠となる。3600万ドル(約38億円)の寄付金を集めている米スキー・スノーボード協会は、資金募集を一年中行っており、航空券購入から仮想現実(VR)を活用したトレーニングまでアスリートが経費を支払うのを支援する。

英馬術選手のトム・マキューアン氏(17年9月)

写真家:Michael Steele /ゲッティイメージズヨーロッパ

  比較的認知度が低いスポーツでは企業スポンサーがほとんど集まらず、裕福な個人スポンサーの存在が特に重要となる。例えば馬場馬術のスポンサーには、元米大統領候補ミット・ロムニー氏の妻、アン・ロムニー氏がいる。一方、米チョコレートメーカー、マースの創業者一族のジャクリーン・マース氏は、総合馬術の最大支援者の1人だ。

男子レスリング・フリースタイル97キロ級決勝(16年リオデジャネイロ五輪)

写真家:Laurence Griffiths /ゲッティイメージズ南アメリカ

  裕福なスポンサーは、五輪に採用される競技にも影響を与え得る。国際オリンピック委員会(IOC)は5年前、レスリングを20年五輪の実施競技から除外候補とすることを決めた。ここでIOCの決定を覆すためのキャンペーンを支援したのが、米プリンストン大学在学中にレスリングの選手だった資産家で投資家のマイク・ノボグラーツ氏だ。レスリングは五輪実施競技として存続することが決まり、他の投資家や多数のファンを巻き込んだこのキャンペーンは成功した。

  「レスリング選手が五輪の舞台に上がる時、多くの見返りや名誉を求めずに支援した何百万人ものレスリングファンの夢と希望を背負っている」とノボグラーツ氏は語った。

原題:For Olympic Glory, Athletes Need Talent and a Billionaire Backer(抜粋)

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