英EU離脱、メイ首相の方針が徐々に明らかに-「いいとこ取り」目標

メイ首相が欧州連合(EU)離脱後に望む英国の姿が明らかになり始めた。EU関係者からは「いいとこ取り」との批判も上がりそうだが、首相はEUとの緊密な関係を一部で維持し、その他の部分では関係を絶つ路線を目指す。

  英国のEU離脱実現まであと1年1カ月余り。現時点の状況は以下の通りだ。

メイ英首相

写真家:Krisztian Bocsi / Bloomberg

1. メイ首相はEU規則を選択的に採用したい

  事情に詳しい関係者によると、メイ首相は金融サービスや農業などの分野でEUの規則を即座に廃止したい考え。一方で、他の分野では長期的にEUと規則を一致させていくことを支持している。

  EU離脱に向けた国民投票キャンペーンの顔であり、メイ首相のライバルと目されるジョンソン外相もこの意向に一定の支持を表明。EUと同一の規制を維持することが有用な分野の具体例として、掃除機など工業製品の規格を挙げた。

  ただ、EUはアクセスしたい分野のみの選択的な採用は認めず、全部かゼロかという姿勢を崩していない。

メルケル独首相

写真家:Krisztian Bocsi / Bloomberg

2.メルケル首相は「いいとこ取り」に寛容示唆

  ドイツのメルケル首相は16日、離脱後の英国との関係で前例のない形を模索するのは必ずしも「いいとこ取り」にならないと示唆。欧州委員会はメイ首相に対し、経済的に強い結びつきを維持できるがEUの規則に従う必要があり、規制策定時に発言権がないノルウェー型か、自由貿易協定を結ぶカナダ型からしか選べないと突き放しているものの、メルケル首相はその2つの間で妥協する可能性に道を開いた。

3.北アイルランド巡る解決策は依然として謎

  メイ首相は昨年12月、協議の行き詰まりを打開するためにEU離脱後に北アイルランドとアイルランド共和国との間に物理的な国境を設けることはないと言明し、他に解決策がなければ国境設置の必要性が生じないよう北アイルランドはEU加盟国であるアイルランドと同一の規則にとどまると約束した。だが、同時に北アイルランドと英本土の間にも国境の設置はないと発言し、英全体が同一の法律を持つ必要があると示唆した。

  アイルランドはたびたびメイ首相のこの公約に言及し、履行を迫っているが、2つの相反する約束をどうやって守るのか、誰も全く見当が付かない。唯一の明らかな回答はEU単一市場または関税同盟への残留だが、メイ氏はこれを否定。この問題を巡り、英政権内でも激しい意見の衝突があるという。

ジョンソン英外相

フォトグラファー:Simon Dawson / Bloomberg

4.移民に寛容なのはジョンソン外相

  ジョンソン外相は強硬なEU離脱を支持する中心人物として描かれることが多いが、移民政策についてはそうではない。同氏の見解は、ラッド内相ら政権内の親EU閣僚にむしろ近い。

  外相は14日、「英国への架け橋を閉ざしたいとは考えていない。英経済に多大な貢献をしている外国人留学生を遠ざけたくはない。中国人学生だけで15万5000人がいる」と語った。

  厳しい姿勢を取っているとみられるのはメイ首相だ。内相時代に移民の純流入数を年間10万人以内に減らすよう強い圧力を受けていた同首相は、国民投票の結果は第一に移民の影響だったと信じており、最近もEU離脱後に英国内在住のEU市民について何らかの変更が必要だと述べた。

  政府はまだ離脱後に目指す移民政策を正式に打ち出しておらず、将来の計画を策定しようとしている企業をいらだたせている。

原題:Theresa May’s Vision Starts to Emerge for Post-Brexit Reality(抜粋)

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