Photographer: Daniel Acker

フェイスブックやスナップ、なぜデュアルクラス株式採用-Q&A

Photographer: Daniel Acker

「1株は1票の議決権を意味する 」。これは投資の大原則だ、というのは正しいだろうか。 常にそうとは限らない。フォード・モーターやグーグル親会社のアルファベットなどの企業は、株式を複数の異なるカテゴリーに分類しており、あるクラスの株主に、別のクラスの株主よりも大きな投票権を付与している。

  このいわゆるデュアルクラスまたはマルチクラス株式により、通常は会社の創業者や首脳陣から成る少数株主が経営に対する支配権を保持できるようになる。投資家は、マルチクラス株式の非民主的な性質について何年も不満を表明してきたが、それでも株を買うことをやめてはいない。証券取引所は規制当局と連携しながら基本原則を定めている。

  だが、デュアルクラス株式を禁止している一部の取引所は、競争の熾烈(しれつ)化に伴って、方針を再考し始めている。特に、そのような取引所は巨大テクノロジー企業の上場を待望しているが、そうした企業は次第にマルチクラス構成を選択するようになっているからだ。一方、株価指数は、デュアルクラス株式を構成銘柄に組み込んでいることが多いが、そのような指数を策定している組織が、反デュアルクラス株式の動きを主導し始めている。

現状

  写真共有アプリを手掛けるスナップは、デュアルクラス株式の概念を限界まで推し進め、2017年の34億ドル規模の新規株式公開(IPO)で、投資家に議決権を1票も与えないという極端な行動に出た。フェイスブックのデュアルクラス構造は、創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏にこの巨大ソーシャルメディア企業の上場株の1%未満しか与えていないが、同氏は60%の議決権を保有している。

  しかし、潮目は変わりつつあるのかもしれない。フェイスブックは17年9月、株主による訴訟を受けて、新しいクラスの株を創設する計画を破棄した。その数カ月前には、公的年金基金を中心とする機関投資家の団体である米機関投資家評議会(CII)が、株価指数に対して、マルチクラスの上場株を除外するように要求した。

  最大級の株価指数開発会社の幾つかがこの動きに注目し、中でもS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスとFTSEラッセルは、将来的にデュアルクラス株式の一部を除外することを決定した。例えば、スナップは現在、S&P500種株価指数の構成銘柄となる要件を満たしていない。従って、投資先がその指数に追随する形で決まり、数兆ドル相当を運用しているパッシブファンドは、同社の株を買う義務を負わないことになる。

  だが、その一方では、デュアルクラス株式を禁止または制限している取引所が、金融中枢としての地位を失うことを恐れて、制限を緩和することを検討している。そのような取引所の例としては、ロンドン、シンガポール、香港があり、その背景には14年、世界記録となったアリババ・グループ・ホールディングの250億ドルの上場をニューヨークに奪い取られたという経緯がある。

背景

  1925年、ダッジ・ブラザーズは米国の投資家の間に動揺を引き起こした。この自動車メーカーのオーナーが、わずか1.7%の持ち分で完全な支配的議決権を保持していることが明らかになったからである。この出来事はその後、複数のクラスから成る株式を制限する40年のルールを生み出したが、その46年後、別の取引所に上場すると脅しをかける企業が現れたときに、このルールはニューヨーク証券取引所によって破棄された。

  デュアルクラス株式は、かつて主としてフォルクスワーゲン(VW)やフォードなど同族企業やニューヨーク・タイムズといったメディア企業によって使用されていたが、グーグルによる2004年のデュアルクラスIPOを契機としてせきを切ったように追随者が続出した。

  リンクトイングルーポンジンガ、フェイスブック、そしてフィットビットがこのモデルを矢継ぎ早に採用したのだ。マルチクラス株式は、欧州大陸の多くの地域、カナダ、およびブラジルで許容されている。米国は過去10年間に、そのような上場から中国の企業によるものだけでも340億ドルを呼び込んだ。

論争

  支持者は、デュアルクラス株式によって、経営陣が長期的な成長に焦点を合わせることが可能となり、各四半期の収益が前期より増加することを期待する大半の投資家の意向に抵抗することができると主張する。また賛同者は、デュアルクラスの上場企業を指数から締め出しておくのは誤りだとし、その理由として、テクノロジー起業家が株式を公開する意欲をそぐことになり、従って最も革新的な企業に関与する機会が投資家から奪われるからだとも主張している。

  反対者は、デュアルクラス株式は、全ての株主を平等に取り扱うことを目指して構築された従来のシステムを転覆させると言う。そのような株式は、一部の投資家を他の投資家より重視することを容認することによって、資本を提供する者は会社の経営のあり方に対する発言権を得るべきであるという根本理念に異議を唱えるものとなっている。そのような会社の株価が上がるか下がるかについて明白な証拠は存在しない。

  反対者の抵抗にもかかわらず、多くの機関投資家は、結局、そうした企業の株を取得している。無視するには大き過ぎるからである。世界最大規模のノルウェーの政府系投資ファンドは、デュアルクラス構造を強く非難しているが、それでもフェイスブックやアルファベットへの投資規模は最大級である。

原題:Why Facebook to Snap Make Investors Feel Second-Class: QuickTake(抜粋)

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