Photographer: Akio Kon/Bloomberg

日銀新体制は現行路線を継続、円高で追加緩和観測も

  • ブルームバーグ調査で26人中23人が新体制移行後も「変化なし」
  • 若田部氏の政策運営への影響は限られるとの見方も
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

黒田東彦総裁の続投を柱とする日本銀行の新体制が固まったことを受けて、現行の金融政策が当面継続されるとの見方が強い。ただ、為替市場では人事報道後に一段と円高が進行しており、追加緩和の可能性が高まるとの声もある。

  政府が16日、黒田総裁の続投と雨宮正佳日銀理事、若田部昌澄早稲田大学教授を副総裁に充てる人事案を国会に提示したことを受けて、エコノミスト26人を対象に調査した。今回の人事によって政策変更のタイミングに変化はあるか、との問いに対し、23人が「ない」と回答した。

  中曽宏副総裁の後任となる雨宮氏は2013年4月の異次元緩和の導入以降、黒田総裁の側近として金融緩和路線を支えてきた。岩田規久男副総裁の後任となる若田部氏は同副総裁と同じく経済政策として金融政策を重視するリフレ派の学者。黒田総裁の続投に加え両氏が副総裁に任命されれば、現行路線は当面継続するとの見方が強い。

  バークレイズ証券の山川哲史チーフエコノミストは調査で、金融政策運営の継続性と金融市場の安定性を重視した人事で「ほぼ予想通り。全く違和感はない」との見方を示した。今年7-9月に長短金利操作の修正を予想しているが、今回の人事に伴う変更はないという。

  リフレ派陣営からは人事を評価する声が出ている。三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中雄二所長は「絶妙な人事だ」と評価した。金融緩和の出口戦略の実務に通じた雨宮氏が副総裁になることで、物価目標の達成度合いによって出口戦略を進められる一方、円高が進んだ場合は、若田部氏主導で金融緩和を強化することができ、「幅広い政策選択余地を残した」という。

分かれる若田部氏の評価

  若田部氏については評価が分かれた。シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは、量的緩和の効果を強調した前任の岩田副総裁が事実上、政策決定には影響力を持たなかったとした上で、若田部氏の起用で日銀の金融緩和志向が高まるとは考えにくく「現実の政策運営への影響は限られるだろう」と分析した。

  一方、UBS証券の青木大樹日本地域最高投資責任者(CIO)は、リフレ派である若田部氏の起用により、今年後半とみていた長期金利目標の引き上げが20年まで後ずれする可能性が高まったとみる。逆に、今年後半に見込まれる消費増税対策の追加補正予算編成に合わせ、「国債買い入れが一時的に増やされる可能性も高いだろう」という。

  クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは、若田部副総裁人事が政府からのメッセージであるならば、「政治的な介入が強まる可能性があると考えるのが妥当だろう」と分析。為替相場や世界経済の展開によっては、「日銀が緩和強化に追いこまれるタイミングが早くなる可能性がある」とみている。

  円相場は人事発表前に1ドル=106円台前半で推移していたが、日本時間昼過ぎから円高が進行し1年3カ月ぶり106円台割れとなった。伊藤忠経済研究所の武田淳主席研究員は今回の人事で政策変更時期に変化はないものの、「急速な円高により長期金利目標の引き上げ時期が後ずれする可能性が高まった」と指摘。100円を割り込むほど円高が進めば「追加緩和の可能性もあるだろう」とみる。

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