米テスラが追い上げ、ポルシェに迫る-アウトバーン誇るドイツで

  • ドイツのPHVとEVの市場規模、ノルウェー抜き世界3位に浮上へ
  • 企業や政府の取り組みで充電ネットワークが急拡大、普及を後押し

ドイツのシュツットガルトからノルウェーのオスロまで米テスラのセダン「モデルS」でドライブしたヤナ・へフナ-さんによれば、2360マイル(約3798キロメートル)に及ぶこの長旅で最も素晴らしかったのは、取り立てて言うことがなかったという点だ。

  5年前に仏ルノーの電気自動車(EV)「ゾエ」でドイツのあちこちを同じように旅していれば、電池切れを避けるためにうんざりするほどの下調べが必要だっただろうが、最近はそれほどでもないという。「もう入念な運転プランも必要ない」とオンライン編集者のへフナーさんは語る。

テスラの充電設備(フランクフルトの駐車場)

Photographer: Alex Kraus/Bloomberg

  へフナ-さん(38)の話は、欧州最大の自動車市場にもようやく静かな革命が根付きつつあることを象徴するものだ。一般にドイツ人は世界的に優れた自動車技術を生み出していることを誇りにしていると考えられており、ポルシェ「911」やメルセデス・ベンツ「Sクラス」のディーゼル車を下取りに出して、ドイツが誇る高速道路アウトバーンで航続距離が限られるテスラのEVに乗り換えるようなことはなかなかしないと受け止められてきた。

  しかし、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)によれば、充電施設の増加や機能改良を追い風に、ドイツは今年、プラグインハイブリッド車(PHV)とEVの市場規模で長年欧州のトップだったノルウェーを抜き世界3位に浮上する見通しだ。フォルクスワーゲン(VW)の広範囲にわたる排ガス不正問題を受けたディーゼル車の衰退と、都市公害に対する国民の高まる反感もこうしたシフトを勢いづける一方だ。

  これを支えるのが充電ネットワークの急拡大で、道路に設置された充電施設の密度でドイツは米国の5倍に達した。スタティスタによると、充電施設は昨年3割余り増加し8515カ所に達した。それほど多いようには思えないかもしれないが、平均で16平方マイル(約41平方キロ)に1カ所ある計算になる。

  EVの「BMWi3」で何度も旅行に出掛けているミュンヘン在住のユーリア・ペグローさんは「ドイツの高速道路での充電はとても簡単だ」と話す。ただ、「地方では多少厄介で、前もって調べる必要」があり、特にいら立つのはドイツのインフラにまとまりがないため、充電のために多数のカスタマーカードが必要になる点だと言う。

  手掛けているのは車の製造であり、インフラの整備ではないと何年も主張してきた自動車メーカーでさえ、向こう数年間のEV技術投資400億ユーロ(約5兆3000億円)の一部を共同で出資する。長年のライバルであるVWとBMW、米フォード・モーター、メルセデスの親会社ダイムラーは協力し、欧州の高速道路沿いに急速充電施設のネットワークを構築する計画に着手した。この前例ない提携により、今年末までに100カ所の充電スタンドが設置され、2019年末までには総数は4倍になる見通し。

テスラにとって独市場は重要になっている

Source: Bloomberg

  20年までにドイツの公道を走るEVを100万台に引き上げる目標を掲げていたメルケル独首相は、期待外れの販売台数を受けて目標撤回を余儀なくされたため、政府は施策を強化している。16年以降、EV購入者は4000ユーロの販売奨励金を受け取り、PHV購入者も3000ユーロの補助金を得ている。充電インフラの増強に3億ユーロの予算も計上された。首相は税制優遇措置などの追加策も計画している。

  こうした動きに市場は反応している。BNEFの予想によると、PHVとEVの販売台数は今年、64%増加し8万2000台となる見込み。BNEFはこの見通しについて、控えめな可能性があり、今年の納車数は容易に倍増し得るとみている。

  テスラはドイツで急速に成長している。昨年の登録台数は75%増の3332台で、テスラのモデルSと競合するポルシェ「パナメーラ」の販売台数3900台に迫る勢いだった。
  
原題:Teslas Are Finally Chasing Porsches Down the German Autobahn (抜粋)

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