座りすぎは危険だ、オフィスではどんな姿勢が望ましいか-QuickTake

Photographer: Jetta Productions/Digital Vision
Photographer: Jetta Productions/Digital Vision

多くの専門家は、ほとんど誰もが毎日やっていることの中で最も危険なのは、座ることだと考えている。専門家によると、座りすぎは喫煙と同様に健康に有害であり、長く座った後で激しい運動をしてもバランスを取ることはできない。数十件の調査研究から導き出された結論は、長く座りすぎることと健康上の問題の間には関連性があるということだ。

  例えば糖尿病、高血圧、ある種のがん(特に女性の場合)、不安神経症、そして早死にする確率の増大などだ。また美容面でも、ヒップラインが平板になり、ボリュームも失われるリスクがある。そうなると、コンピューターのモニターの位置を高くして立ったまま仕事ができるようにする人がますます増えているのも当然だろう。しかし、屋根裏にほこりまみれのバランスボール・チェアをしまい込んでいる人なら誰でも知っているように、奇抜なデスクの流行は必ずしも長続きしない。既に座りすぎの危険を説いたリポートの全てが、座ることはそう悪くないという正反対の研究結果による反論を受けている。昇降デスクは健康に寄与するかどうかをめぐる論争も起きている。

  米国では立ったり座ったりするのに合わせて高さを調節できるデスクが再びオフィス備品として急成長している。ある調査によると、そのようなデスクを支給している企業は44%に達し、2013年以降3倍に増えている。昇降デスクは北欧では既に一般化しており、ドイツでも従業員の約16%がそのようなデスクで仕事している。そう遠からずに、こうしたデスクの一部は座っている時間を監視するセンサーが装着され、あまりに長く座ったままでいると優しく振動して立つように促してくれるようになるだろう。

  昇降デスクの熱烈な愛好者の1人であるメイヨー・クリニックの医師、ジェームズ・レバイン氏は、「座りすぎは喫煙と同じくらい健康に悪い」("Sitting is the new smoking")という警句を発した人だが、トレッドミルデスク(ランニングマシン付きのデスク)を発明することでこの流れをさらに後押しした。しかしこのデスクも昇降デスクと同様に、受け入れるユーザーもいれば放り出すユーザーもいた。

ルーツは19世紀

  現在、立ったまま頑張って仕事している人の多くは気づいていないかもしれないが、実のところ、そのスタイルは19世紀の事務員の様式を踏襲している。かつては座るのに合わせて低く調整することができない高い机を使用していた。現代に入っても英首相のウィンストン・チャーチル、米作家アーネスト・ヘミングウェイ、元米国防長官ドナルド・ラムズフェルドは皆、立ったまま仕事をしていた。

  しかし20世紀になって肉体労働で生計を立てる人がますます減っていくにつれて、時代の流れは座ることに向かって勢いを増していった。公衆衛生の専門家たちは、それ以降実質的に警鐘を鳴らし続けてきた。1949年から1952年までロンドンで実施された調査では、乗合バス、路面電車、トロリー線の運転手と車掌を比較した結果、より活発に動く車掌の方が心臓疾患のリスクがはるかに低いことが分かった。

  これは至極当然の結果だ。長時間座っていれば脚に鬱血が生じ、その部分の動脈が拡張する能力の一部を失うからだ。代謝が衰え、それに伴ってさまざまな生化学的な働きの健全な機能も低下する。座っていることが多い生活が身体および心理に及ぼす影響に対する抵抗力のさらなる脆弱(ぜいじゃく)化を招くことになる。昇降デスクは内勤者がこうした事態を回避するのに役立つように考案されたものだが、座りすぎを避けることは動き回ることと同じではない。

姿勢の変遷

Bloomberg

論争

  研究者グループの1つの結論によれば、座っている時間を1日3時間未満まで短縮すると平均余命を2年延ばすことができるという。一部の研究者は、活発に動く人々の中にさえ座りすぎと疾患の関係を突き止めている。だが、相反する調査研究もある。それによれば、座ることが健康に悪いのは運動不足の完全な「カウチポテト」だけであり、活発に運動すれば、たとえそれが週末の2-3時間程度であっても、事実上座ることに関連する死亡リスクを解消できるという結果が得られている。

  また研究者らは、昇降デスクがカロリー消費や生産性を向上させることに何らかの寄与をしているのかどうかについても異議を唱えている。一部の研究者は、長時間立ったままでいると、それはそれで問題が生じると指摘している。すなわち、足首のむくみ、脚のこむら返り、静脈瘤(りゅう)、姿勢の問題、背中の痛みなどだ。また、仕事で立ち机を使用している人々の一部は、仕事中の労力が増える代償として余暇時間の運動を減らしていることも判明している。

  研究によれば、デスクワーカーが座ることに潜む落とし穴を避ける最適な方法は、単に立っているだけではなく、1時間に1回、数分程度、または1日に数回、5-10分程度、歩き回ることだ。これは血液と呼吸の循環をほどよく促す。トータップのようなエクササイズや揺するような動きも効果がある。その効能は座っている人にも立っている人にも同じだ。

原題:Sitting Is the New Smoking But Standing May Not Help: QuickTake(抜粋)

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