米10年債3%接近で動くか日本投資家、パウエルFRB見極めとの声

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  • 昨年10~12月の対米国債(中長期債)投資は3兆7758億円の売り越し
  • 市場が落ち着く中で10年で3%あれば買うという感じ-しんきんAM

米国の長期金利が予想を超えるペースで上昇し4年ぶりの3%台に迫る中で、米国債購入に慎重な日本の投資家の買い意欲はいつ戻るのか。市場関係者は相場の安定に加え、パウエル新議長率いる米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策運営の見極めが必要とみており、年度明け以降との声も出ている。

  米10年国債利回りは15日に一時2.94%と2014年1月以来の高水準を付けた。年初来では53ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の大幅上昇。今年第1四半期の市場予想(中央値)は15日時点で2.75%と1月調査時の2.57%から上方修正されているが、実際の水準は第2四半期予想の2.85%も上回る。

  財務省の統計によると、国内投資家は昨年10~12月に米国債(中長期債)を3兆7758億円売り越した。米長期金利が前週比で18bp高と急上昇した1月28日~2月3日の週には米国債を含む海外の中長期債を8649億円、翌週も9732億円それぞれ売り越している。

  しんきんアセットマネジメントの加藤純チーフマーケットアナリストは、国内勢の米国債投資について「市場全体が落ち着く中で10年で3%あれば買おうという感じはある」と語る。「今の金利水準を受けた株価のリプライシングが終わって落ち着くか。また、パウエル新議長下でのFRBが全てはアンダーコントロールであることを示せるか」が今後の焦点とみる。

  パウエルFRB議長は28日に下院金融委員会、3月1日には上院銀行委員会で、米国の経済状況について証言する。3月20、21日に連邦公開市場委員会(FOMC)を控える中、金融市場では25bpの追加利上げがほぼ織り込まれている。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の井上健太シニア債券ストラテジストは、「新生FRBと市場との対話能力への不安を漠然と感じ、投資家は何か気が休まるような情報発信をFRBから待っているのだろう」と指摘。「議長証言まで市場は恐る恐るゆえ、ポジションを取れず、ボラティリティーが高い状況は当面続いてしまいそうだ」と予想する。

  米国債相場のCBOE/CBOT10年債ボラティリティー指数は8日に6.07と、引け値ベースで昨年4月以来の水準まで上昇した。15日時点では4.80%。

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「日本の投資家は米10年債利回りが3%近くに達すれば触手は伸びそうだが、年度末を控えた季節要因、ボラティリティー上昇に伴うリスク管理上の問題から、現実的には年度明けで市場が落ち着いていて金利が3%近くあればということになるのでは」と語る。

  ドル・円のヘッジコストは世界的な金融危機に見舞われた08年以来の高水準付近で推移しており、これを差し引いた米10年国債投資のリターンは年0.6%前後にとどまる。仏カルミニャック・ジェスチョンの投資委員会メンバーのジャン・メドゥサン氏は、日本の投資家の米国債投資では「今後ドル安が進むと想定した場合、どうやって魅力的な利回りと為替ヘッジコストとのバランスを取るのか」が課題とみる。

(第3段落を最新の統計に差し替えて更新します.)
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