Photographer: Luke Sharrett/Bloomberg

【米経済ウオッチ】実体経済の変調映す金融動乱-車と株は急ブレーキ

  • 自動車ディーラー店販売は昨年10月の953億ドルでピーク
  • 小売売上高最大項目の自動車販売失速は実体経済変調の重要な要素

注目されていた消費者物価指数(CPI)の前月比上昇率が0.5%と、予想を上回る伸びとなった一方で、小売売上高が予想外のマイナスに沈んだ。特に今回の景気拡大をけん引してきた自動車販売の失速で、景気の先行きに暗雲が生じてきた。

  商務省が発表した1月の小売売上高統計によると、自動車ディーラー店の売上高は季節調整済みで928億ドルと、前月に比べ1.2%減少した。これで3カ月連続マイナスだ。大幅な販売促進策が実施された月を除くと、前回の景気拡大局面では2007年10月にピークを付けた後、2カ月後に景気後退に突入している。この時は株価のピークアウトと自動車販売のピークが一致していた。

  今回の景気拡大局面では、連邦準備制度によるゼロ金利政策と量的緩和という異例の措置に支えられて、自動車ディーラーはゼロ金利ローンを長期間続けてきたが、このところの市場金利上昇でゼロ金利による販売が苦しくなってきた。しかも無理な販売攻勢がたたって在庫が膨れあがっており、調整は避けられない雲行きだ。

  自動車販売は2009年6月の谷を起点に始まった今回の景気拡大局面では、昨年10月に記録した953億ドルがピークになっている。走行車両の急増で事故も多発しており、国家安全委員会(NSC)が集計した2016年の交通事故による死者数は、前年比6%増の4万200人と初めて4万人を超えている。

  こうした交通事故の増加を背景に、1月のCPI統計では、自動車保険料項目が前月比で1.3%上昇と騰勢が弱まらず、前年比で8.5%の大幅上昇を記録した。これは2003年以来の高い伸びであり、こうした悪い物価上昇もCPIの予想を上回る伸びにつながっている。

交通事故急増を受けて自動車保険料は急騰

  自動車は小売売上高統計の最大項目であり、その失速は米国経済に重要な影響を与えずにはおかない。株式や債券など金融市場の波乱の元凶としてボラティリティー指数などさまざまな要因が指摘されているが、大本にある実体経済に亀裂が走った可能性は否定できないだろう。

(【米経済ウオッチ】の内容は記者個人の見解です) 

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