【コラム】トランプ氏の実像探すワシントン放浪記-マイケル・ルイス

「ライアーズ・ポーカー」や「世紀の空売り(原題ビッグ・ショート)」などの著者でブルームバーグ・ビューのコラムニスト、マイケル・ルイス氏がワシントンを訪れ、トランプ米政権と報道陣との対決の場であるホワイトハウス記者会見室の様子や、首席戦略官だったスティーブ・バノン氏とのやりとりを盛り込んだ長編コラムを執筆した。同コラムの一部を紹介する。

ホワイトハウス記者会見室にて

「ここでは、米国内のどの場所よりもずっと大統領の衝動に翻弄(ほんろう)される。何も起きない時間の方が圧倒的に多いが、トランプ氏がいつ何をツイートするかや、いつ自身の言動をカバーするようメディアに突然号令をかけるか知る由もない。このため1日中離れることができない」

ホワイトハウスのプレスブリーフィング室

Bloomberg

「もともと大きいとは言えないホワイトハウス担当記者の幸福感は、一段と下り坂にあるようだ。記者の何人かは私に、よく眠れないとか体重が増えたとか、心の健康に問題があるなどと打ち明けた。彼らはやや、トランプ氏のようになりつつある」

スティーブ・バノン氏

「2008年の金融危機が自分の政治人生で転換点だったと彼は語った」「バノン氏は、米国民の生活の中核的問題を最も劇的に描写するものとして、金融危機を受け止めた。エリート層による社会への裏切りだ。エリート層は、自分たちが始めた無意味な戦争で自身の子供が命を失うこともなければ、米企業が海外に工場を移転しても失職することもない。さらに、金融危機の結果にエリート層が苦しむこともない」

「バノン氏は、ゴールドマン・サックスの株主は2008年に一文無しになるべきだったと考える。そして、同社の社長を務めていたゲーリー・コーン氏は職を失うべきだったと思っている。だが、ゴールドマンは生き残り、コーン氏は何億ドルもの報酬を得て、今ではトランプ氏の経済アドバイザーとして泳ぎ回っている」

スティーブ・バノン氏

Bloomberg

「バノン氏の目から見ると、公開イベントは取るに足りない機会ではない。それはトランプ氏を当選させた感情をかき立てる。つまり怒りだ」

「私の想像では、トランプ氏は自分がどのようにして当選したか理解していないというのがバノン氏の考えだろう。トランプ氏はほとんど偶然に活用することになった怒りの力を理解していない。そして、これからも決して理解することはないだろう」

「性的虐待や嫌がらせに対する『Time’s Up(タイムズ・アップ)』運動にもバノン氏は100%の関心を払っている」

「彼は怒りの鑑定家であり、セクハラに対する女性たちの怒りの先に、もっと多くの怒りがあることを感じている。『これはティーパーティー(草の根保守運動)をもっと大きくしたうねりとなるだろう。セクハラだけの問題ではない。それは反家父長制度の動きだ。1万年の有史に時間切れを告げるもので本物だ』と、彼は語る」

一般教書演説中のトランプ大統領

Photographer: Win McNamee/Pool via Bloomberg

(コラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーやその編集部の意見を反映するものではありません)

原題:Looking for Trump in All the Wrong Places: Michael Lewis (Correct)(抜粋)

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