Photographer: Akio Kon/Bloomberg

リフレ派「本田副総裁」誕生にらむ債券市場、フラット化さらに進展か

  • 国債市場はこのケースを完全に織り込んでいない-BNPパリバ証
  • 40年債利回りは正副総裁人事報道を受け、今週1年ぶり水準まで低下
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

日本銀行の黒田東彦総裁が再任される見通しが強まる中、国債市場の関心は次期副総裁の一人に金融緩和志向が強いリフレ派が任命され、緩和強化・長期化の思惑から超長期債が買い進まれて利回り曲線のフラット(平たん)化がさらに進展するかどうかに向けられている。

  政府が黒田総裁を再任する方針を固めたと共同通信などが9日夜以降に相次ぎ報じる中、毎日新聞は副総裁には日銀生え抜きの雨宮正佳理事とともに元内閣官房参与で安倍晋三首相に近い本田悦朗駐スイス大使が有力だと報道。来月19日に任期満了を迎える岩田規久男副総裁の後任も同じくリフレ派という緩和強化・長期化シナリオが現実味を帯びてきた。

  BNPパリバ証券の井川雄亮金利ストラテジストは、重要なのは副総裁に本田氏や若田部昌澄早稲田大学教授、審議委員の原田泰氏、片岡剛士氏といった「強烈なリフレ派」が入るか否かだと指摘。国債市場はこのケースを「まだ完全には織り込んでおらず、続報が伝わるにつれて量的緩和面の強化観測が広がるので、さらにブルフラット化が進む余地がある」とみる。

  償還までの期間が最も長い新発40年債の利回りは正・副総裁人事に関する報道を受けた今週、0.915%と昨年1月以来の水準に低下。日銀が「ゼロ%程度」に誘導する10年債利回りとの格差は85.9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と約13カ月ぶりの低水準となり、利回り曲線のフラット化が進んでいる。

  メリルリンチ日本証券のデバリエいづみ主席エコノミストは、市場にとって重要なのは岩田副総裁の後任で、候補者はすでに本田氏、若田部氏、伊藤隆敏米コロンビア大学教授に絞られていると推測。財政に関するタカ派スタンスなどから伊藤氏の可能性は高くなく、本田氏か若田部氏が選ばれて市場からハト派的だと受け止められる可能性があるとみる。

  黒田総裁の年齢や過去の再任事例から、市場では途中退任の思惑もある。三井住友アセットマネジメントの深代潤執行役員は、リフレ派の副総裁のメインシナリオは若田部氏だが、本田氏の方が政治的な決着は容易かも知れないと予想。深代氏自身は黒田氏の途中退任を想定していないが、市場は「本田副総裁」が濃厚となれば将来の総裁昇格も織り込みにいくと読む。

  黒田総裁は就任直後の2013年4月から巨額の国債買い入れオペを主な資金供給手段とする量的・質的緩和を進めてきたが、16年9月に超長期債利回りの行き過ぎた低下を副作用の一つとして認め、金利コントロール策に転じた。日銀はその後、購入規模を徐々に減らしてきているが、生命保険会社や年金基金が望む利回り水準には達しておらず、ブルフラット化が進めば運用環境はさらに厳しくなる。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE