義理チョコからの解放、バレンタインは自分へのご褒美デーに

  • 71.5%が職場での義理チョコに「負担感じる」、働きやすさに影響
  • 自分用チョコ予算は本命上回る3994円、女性の所得増で高価格品人気
Ruby-chocolate KitKat sold in Tokyo. Photographer: BEHROUZ MEHRI/AFP
Photographer: BEHROUZ MEHRI/AFP

元会社員の堀井英未さん(27)は「義理チョコが正式に世に認められたせいで社交辞令出費が増えるからつらい」とこぼす。社内ではチョコレートを配らないように「女子の協定」を結んでいたというが、取引先には贈らないわけにはいかない。1人当たり2500円のチョコレートを準備していたという。

  職場で女性が男性にチョコレートを配る義理チョコ文化に変化が生じつつある。準備には時間がかかる上、誰にあげるかも悩みどころで、負担を感じる女性が多い。美容や健康効果をうたう高機能チョコレートの開発が進むにつれ、むしろ女性は自分自身へのご褒美としてチョコレートを買い求めるようになってきている。

  ゴディバ・ジャパンは1日、日本経済新聞に「日本は、義理チョコをやめよう」と訴える広告を掲載。同社のジェローム・シュシャン社長はその趣旨を「義理チョコが少しでも苦痛になっている人がいるのであれば、それはやめてしまったほうがいいのではないか」と説明している。

  働く主婦層を対象に行った「しゅふJOB総研」の調査では、職場でバレンタインデーにプレゼントをあげたことがあると回答した人は90.2%。「負担は感じない」が21.1%だったのに対し、「負担を感じる」が71.5%だった。同総研の川上敬太郎所長は「負担感とどう折り合いをつけるかは働きやすい職場のあり方を考える上で無視できないポイント」と指摘。調査には「あげた人が目立つから、あげないことができなくなる」や「禁止令を出してほしい」とのコメントが寄せられたという。

  バレンタインデーが消費に与える影響は大きい。市場調査会社インテージの調査によると、2月のチョコレート販売額はその他の月平均と比べて1.6倍。年間の販売額は増加傾向にあり、直近5年間の変化を見ると毎年5%程度販売額を伸ばしている。お菓子市場全体の拡大幅は毎年2%程度。

  ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、トーマス・ジャストルザブ氏(香港在勤)は電話取材に、「準備には時間がかかる。誰にチョコレートをあげるかで頭を悩ませており、義理チョコを面倒だと思う人が増えている」と述べた。一方で、女性の就労率の上昇は義理チョコの消費を下支えするだろうとの見方も示した。

  ミモザの森法律事務所の伊藤和子弁護士は13日の電話取材で、義理チョコ文化を「典型的な性別役割分担」と評し、お茶くみと同じように女性が余計な気を使わなければいけない職場環境の「象徴的な慣習だ」と批判。日本は職場とプライベートの線引きが曖昧なために生じている事象とも語った。

ご褒美チョコ

  義理チョコへの抵抗感が増す中で、新たに存在感を示してきているのが自分自身のために購入するご褒美チョコだ。ユーロモニターの松永芽恵アナリストは8日のメール取材に対し、日本においてバレンタインデーは「パートナーに購入するよりも、女性自身が楽しむ日として拡大を続けている」と指摘。女性の所得水準の上昇を背景に高級チョコレートの売り上げが好調だと説明した。

  松屋銀座の「バレンタインに関する女性の意識調査」では、自分用のご褒美チョコを購入すると回答した人は56.9%に上った一方、本命チョコレートは36.1%、友達に贈る友チョコは23.8%だった。予算別に見ると自分用が3994円と最も高く、本命は3391円だった。義理チョコの平均予算は940円で、購入にあたっては「価格」を最重視するとの結果が出た。

  それでも、義理チョコ文化はまだまだ根強い。カメラマンアシスタントの近井沙妃さん(26)は、「ほんの気持ち」として上司に3000ー5000円の義理チョコを用意。上司が自分で食べずに人に渡す際にも「恥ずかしくないブランドのチョコ」を選ぶという。長崎県の食品会社「ごと」の調査では、男性の44%が義理チョコでもほしいと思っていることが明らかになった。

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