世界最大クルーズの秘密公開-暗号やサブリミナルメッセージの意味は

旅行者が「本物の体験」にかつてないほど貴重さを感じるこの時代に、クルーズ業界はそれとは正反対の完全に人工的な娯楽に力を入れている。これを主導してるのが米ロイヤル・カリビアン・クルーズだ。

  ロイヤル・カリビアンの巨大クルーズは、それ自体が目的地となっている。船内のレストランやカジノ、ブロードウェイ級のミュージカル、ディスコパーティー、スケートリンク、カラオケ、ダンスクラブなどにはどれも強い魅力があるため、船がどこに停泊するか調べようともしない乗客がいるほどだ。

  そのため、ロイヤル・カリビアン・インターナショナルから同社最大の船「ハーモニー・オブ・ザ・シーズ」の臨時ディレクターに就任するよう誘われた時、私の人生で最も熱狂に満ちた1週間になることが分かっていた。

  クルーズディレクターとしての私の最も重要な任務は、乗客6322人と乗組員2200人強の幸せに目を配ることだった。そう、全てが美しいハーモニーとなり機能するようにすることだ。海の真ん中に浮かぶ都市の市長になると、世界最大のビュッフェの準備からセレブ客への対応に至るまで、全てが10倍クレージーになる。

クルーズには秘密の暗号がある

スタッフは秘密の暗号でやり取り

イラスト:Zohar Lazar

  何か不都合が起きた時に乗客が動揺しないように、スタッフは暗号でやりとりすることが重要だ。「30-30」は乗組員がメンテナンス担当者に汚れなどの後始末を要請していることを意味する。私の勤務期間中に3回、公共の場での嘔吐(おうと)事件を示す「PVI」の通報を行った。「アルファ」は医療緊急事態、「ブラボー」は火事だ。特に警戒が必要なのは、船が漂流し始めたことを意味する「エコー」や、誰かが海に落ちたことを意味する「オスカー」だ。

酔っぱらい客への対策は万全

泥酔客は船内のバーでサービスが受けられなくなる可能性も

イラスト:Zohar Lazar

  ロイヤル・カリビアンの乗客は家族で旅行する人が中心で、飲み放題パッケージを購入する人は全体の8-10%に過ぎず、パッケージ購入者は注意深くモニターされる。泥酔客は「シーパス」(船内用クレジットカード)を一時的に無効にされ、船内のバーでサービスを受けることが禁止される可能性がある。

クルーズ乗組員はサブリミナルメッセージを利用

  乗客が客室で最初に目にする可能性があるのは、テレビ画面に繰り返して流れる手洗いを促す陽気な調子の歌だ。この歌はノロウイルスの流行を防ぐための乗務員の取り組みの一つだ。

  だが、こうした衛生管理は、船内で頻繁に使われるサブリミナルメッセージの目的の一つにすぎない。船内で行われる特別プロモーションは、一部の場所が混雑した際に乗客を分散させ、それとなく船内での支出を多様化(および増加)させることが狙いだ。例えばカジノ収入が低い場合、幹部はスロットマシーンの反対側でくじ引きやカラオケイベントを開催して客足を増やし、乗客に長居(いっそのことプレー)するよう促す可能性がある。


食事とトイレの事情

米国人はケチャップ好き

Bloomberg

  平均的な1週間のクルーズの場合、ロイヤル・カリビアンは乗客の80%が米国人で、約3000本のワインと7000ポンドの鶏胸肉、10万個ほどの卵が必要と推計する。

  米国人の割合が80%超の場合はケチャップをより多く注文しておく。中国人の比率が高ければカットフルーツと魚介類、コメを増やす。中南米客は赤身肉とコロナビール(ライムも一緒)がより多く必要だ。乗船者の内訳に関わらず変わらないことが一つある。それはトイレットペーパーの数で、毎週9600ロール前後が消費される。

原題:Secret Codes, Subliminal Messaging on World’s Biggest Cruise(抜粋)

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