ウォール街のロボット革命始まる、心配すべきなのは誰か-QuickTake

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ウォール街にもロボット登場-変わるホワイトカラーの職業事情

ウォール街のロボット革命が始まった。JPモルガン・チェースは、LOXMと呼ばれるプログラムの本格展開を進めており、LOXMは人工知能(AI)を活用して株取引の執行を非常にうまくやってのけることで、人間のトレーダーのお株を奪おうとしている。ゴールドマン・サックス・グループは、新規株式公開(IPO)プロセスの自動化を推進中。金融テクノロジーのイノベーション、すなわちフィンテック は、それらの金融機関が長く優位に立ってきた領域に新たな競争を生み出しつつある。金融危機のさなかにシティグループを最高経営責任者(CEO)として率いたビクラム・パンディット氏は、技術の進歩に伴い5年以内に銀行の仕事の30%が消滅する可能性があると予測する。また、クオンツ運用のヘッジファンド運営会社ツー・シグマの共同創業者であるデービッド・シーゲル氏は、機械によって労働力が広く時代に取り残される日が近いと懸念している。だが、希望がすべて消えたわけではない。

なぜロボットはウォール街の仕事に適任なのか?

  AIとは機械に論理的思考のさまざまな側面を植え付けることを目指すコンピューターサイエンスの分野だが、今では機械学習(コンピューターがデータを取り込むことで学習する能力)と自然言語処理(テキストを読み書きする能力)も含まれる。ロボットによるプロセス自動化は、比較的単純なタイプのAIであり、事務的要請への対応など決まりきった作業を実行する。

ロボットに仕事を奪われるリスクが最も高いのは誰か?

  支援業務やバックオフィス処理、体系的なデータに頼るレポートの作成など、反復の多い職種が最初の標的になるだろう。(JPモルガンではボットが処理するリクエストが今年170万件に達する見通し。これは従業員のパスワードの設定のような作業で140人分の仕事に相当する)。ドイツ銀行のジョン・クライアン最高経営責任者(CEO)は、職を失うリスクの高い職種として「『そろばん』業務に基本的に多くの時間を費やす」経理担当者を挙げており、マッキンゼーのパートナー、ジャレッド・ムーン氏は、投資銀行へのテクノロジー浸透で一般行員の仕事量が3分の1程度軽減されると予想する。

2025年までに人工知能(AI)が生み出す銀行の仕事

テクノロジー、データ、その他

失われる仕事

投資銀行業務
取引および清算・決済プラットフォーム
プライベートバンキングおよびウェルスマネジメント
営業およびトレーディング
証券サービス
資産運用管理

出典: オパイマス(Opimas LLC)

心配しなければならない人々は他にいるか?

  データの収集・分析とレポート作成に勤務時間の多くを費やしている投資銀の若手行員を考えてみよう。コンサルティング会社コグネティクスによると、投資銀のアナリストらは1日(16時間)のほぼ半分をプレゼンテーション資料に使うチャートの作成や更新に費やしている。だが、機械学習プログラムはこの種の作業が既に非常に得意だ。コンプライアンス(法令順守)や規制対応の担当者には別の心配もある。過去5年で銀行の行員数全体は10%減少したが、それらの職種の人員は倍増した。「レグテック」(テクノロジーを活用する金融規制管理)による自動化は、コンプライアンス・コストを抑制したい金融機関には朗報かもしれないが、仕事を奪われたくない人々には悪いニュースだ。

フィンテックで最も脅かされる仕事は何か?

  レンディングクラブやオン・デック・キャピタといった新興企業は、資金を借り入れたい消費者と利子収入を得たい資金提供者を素早くマッチングさせるオンライン融資のパイオニアだ。今や銀行も独自のオンライン・ローン・ポータルを発表し、フィンテック企業とのパートナーシップを締結するなど競争に乗り出しており、融資担当者らが自動化の影響を最も受けやすい。

誰かにとっていいニュースはあるか?

  経営コンサルタント会社のオパイマスは、テクノロジーやデータ関連で2万7000人もの新規雇用が生み出されるとみている。ムーン氏によれば、米銀は欧州やアジアの銀行より多くの資金をAIに投じており、市場シェアが拡大する可能性がある。

人間の主導権を正当化する最も強い根拠は何か?

  共感や信頼は自動化がなお困難なため、顧客が営業担当者に電話したいと考える限り、職が失われることはなかろう。商品や売買頻度が低い債券、「エキゾチック」と呼ばれる複雑なクレジットの取引も自動化が比較的難しい。コンピューターは債券の契約事項や裁判所の文書の理解を学習しつつあるが、契約の解釈が課題として残る。機関投資家が大規模なブロックトレードを実行したいケースや、一任契約に特に関心がある場合、やはり人間のトレーダーに頼みたいと考えるだろう。しかし、銀行はそのようなやりとりのカタログ化に取り組み、コンピューターも顧客の要望を予測して先取りする能力を高めつつある。

金融界でのキャリア開始のために必要な準備は何か?

  「テクノロジーに精通し、顧客に精通し、データに精通することだ」とグリニッチ・アソシエイツのリチャード・ジョンソン氏は指摘する。銀行がビジネス全般に導入しているテクノロジーの扱いに習熟する一方、コンピューターにできそうにないリレーションシップマネジメント(ニーズに即した対応を可能にする顧客関係管理)に力を注ぎ、AIが必要な情報を銀行が分析する手助けを行うデータサイエンスに取り組むことをそれは意味する。マッキンゼーのムーン氏はより単刀直入だ。同氏は投資銀行が採用するプログラミング言語に言及し、「Python(パイソン)のコードを学べばよい」と話している。

原題:How to Survive Wall Street’s Robot Revolution: QuickTake Q&A(抜粋)

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