日生:米金利上昇でも米国債買いづらい、分散でASEAN国債も

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日本生命保険は、最近の米長期金利の急上昇にもかかわらず、為替ヘッジコストの上昇で米国債は投資しづらいと考えている。対米投資では、モーゲージ債や社債など上乗せ金利(スプレッド)の乗った債券で運用利回りを確保する方針だ。

  国際投資部の木村清和外国債券課長は、「米国債だけだとヘッジコストが賄いきれない。ヘッジコストの高さが米国債投資を難しくさせているのは間違いない」と話す。現時点で投資する米国の債券のうち、残高は米国債よりもモーゲージ債と社債を合わせた額の方が大きいという。

  米国の雇用情勢の改善や利上げ加速の観測で、米金利は急上昇し、世界同時株安の引き金を引いた。米10年国債は年初の2.4%台から12日には2.8%台になった。一方、日米短期金利差などで決まるヘッジコストも同1.9%台か2.3%台に上昇、コスト控除後の米国債の利回りは0.5%程度にとどまっており、生保が投資することが多い日本の20年国債の0.59%程度と、ほとんど変わらない。

  同氏は、米長期金利について「2%台後半はフェアなところ。3%も少し先を見渡せば十分あり得る」と予想、今後は「海外債券の金利上昇リスクは非常に大きい」と懸念する。米国の今後の利上げ局面の終盤で年限を長期化する方針だ。為替相場については、日米金融政策の方向性の違いから「1ドル=110円ぐらいがフェア」とみている。

  日生は、日銀のマイナス金利導入で外債投資を増やした当時から、期限前償還リスクで高い利回りが期待できるモーゲージ債や、価格下落分をロールダウン効果(クーポン収入と残存年限の短期化による価格上昇)で吸収できる年限を選んで投資してきている。

分散投資

  また、これまで米州と欧州を外債の2大投資対象地域としてきたが、カナダなど米国のペースに追随して利上げを速める動きもあり、「投資国・地域の分散は非常に大事」という。これまでクレジットのみ投資してきた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域について、「アジア通貨危機からファンダメンタルズが改善している」と評価し、ソブリン投資の開始も視野に入れてリサーチ中だ。

  以前は利回りが低く投資が進められなかった欧州債の投資も順次進めている。政策金利がゼロで固定されている間は、イールドカーブもスティープ化しており、ヘッジコストは安く、投資利回りが比較的高い。ただ、緩和政策が出口に向かい始めており、「難しい時間にはなってくる」と警戒する。

  欧州債投資での分散の1つとして、1日にはドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州が私募発行した、学校やスポーツ施設への助成金に活用される教育ボンドに5000万ユーロ(約68億円)投資した。表面利率は1.387%で、ドイツ国債に41BP(1BP=0.01%)上乗せした水準。木村氏は、私募債は流動性が低い分スプレッドが若上乗せされるケースがあるとし、「発行体とのコミュニケーションで起債してもらっている。こういうものを今後も増やしていきたい」と述べた。

(第4段落に為替の見通しについて加筆しました.)
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