【日本株週間展望】波乱続く、米金利再上昇リスクと業績期待が綱引き

  • 米国はインフレや財政赤字拡大を懸念、長期金利4年ぶり3%も
  • 日経平均PER13倍台は割安、下値めどは200日移動平均2万1000円

2月第2週(13ー16日)の日本株相場は値動きの荒い展開が続きそう。世界同時株安のきっかけとなった米国の長期金利に先高観測が強く、投資家心理が冷え込んでいる。半面、現時点では今回の内外株安が世界経済回復の足かせになるとの見方には至っておらず、良好な企業業績への期待が見直し買いを誘う。

買い物する米消費者

Photographer: Luke Sharrett/Bloomberg

  米国では14日に消費者物価指数、小売売上高、15日に生産者物価指数や鉱工業生産指数と、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースを占う上で注目される経済指標が発表される。1月の消費者物価では食品・エネルギーを除くコア指数が昨年12月に続き前月比0.2%上昇が見込まれており、年内4回の利上げ観測が強まる可能性がある。トランプ政権下で財政赤字が拡大するとの懸念もくすぶる中、米10年債利回りが5日に付けた2.88%を上回って再び上昇すれば、世界的な株安連鎖となるリスクがある。

  金利や株式相場の不安定化にもかかわらず、為替相場は1ドル=109円付近で安定しており、企業業績の悪化懸念は高まっていない。三菱UFJモルガン・スタンレー証券によると、東証1部に上場する3月期決算企業の第3四半期(4ー12月)売上高経常利益率は、製造業が8.4%と過去最高だった2007年度の水準を上回っている。ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、世界経済の回復が続き、多少円高に振れても数量効果でカバーできるとし、「来期はいくらか減速するとはいえ、純利益で5-8%増」を見込む。終盤を迎える決算発表は13日に楽天や三菱マテリアル、住友不動産、14日にクボタ、第一生命ホールディングス、16日にブリヂストンが予定。

  業績が好調な中での株価急落によりバリュエーション面で割安感が出てきたため、買いやすくなっている。日経平均の予想株価収益率(PER)はアベノミクス後の中心レンジである14-16倍の下限を下回り、東証1部の上昇・下落銘柄数の百分比を示す騰落レシオは昨年4月以来の80%台に低下した。テクニカル分析からは日経平均の200日移動平均(9日時点で2万1003円)が下値めどとの指摘がある。第1週の日経平均株価は週間で8.1%安の2万1382円62銭と、2年ぶりの下落率を記録して3週続落。

≪市場関係者の見方≫

セゾン投信の瀬下哲雄運用部長
  「下落基調。この1週間で米国の財政赤字が金融市場のテーマとなったことから、投資家が一時的だと想定していた米金利の上昇はむしろ3%へ近づくのではないかとの思惑が働きやすい。米金利上昇でこれまで債券の代替で株式を買っていた債券投資家の資金が逃げやすくなるほか、企業業績にもダイレクトに影響しかねない。もし米金利が高止まりしたままなら、日経平均は2万円を割り込んでも不思議ではない。米国のCPIは強い結果にはならないだろうが、経済指標はあまり影響を与えない可能性がある。景気や企業業績は悪くないほか、たとえ悪い金利上昇であっても、為替面でドル安・円高になっていないことは日本株をサポートしそう」

三菱UFJ国際投信・戦略運用部の石金淳チーフストラテジスト
  「乱高下続く。米国金利はいったん上がり始めると3か月サイクルで動くため、当面は高止まりもしくは一段の上昇リスクがある。物価などで強い統計が出てくるとインフレ懸念が再燃して長期金利が3%目指して上昇、米国株は下落し日経平均は2万1000円割れもある。過去の株価急落から底入れ完了までの期間はリーマン・ショック時を除くと平均で30日程度のため、値幅調整はある程度進んだが日柄調整は不十分だ。2月いっぱいは値動きが荒く再度の急落も想定しておくべき。一方、米国では労働参加率がなかなか上がらないため、いずれインフレ警戒は沈静化し米長期金利も下げに転じるだろう」

ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジスト
  「堅調。インフレ懸念にあおられた米金利上昇は行き過ぎで、金利高に持続性はないとみている。インフレを本当に懸念するならドルが動くはずだが、そうなっていない。そもそもミニバブルだった米国株の急落は想定の範囲内だ。米国株安は加速せず、世界経済の回復や企業の業績改善見通しを変える必要はない。米国金融市場の投資家心理が極端に悪い状況からニュートラルに戻るだけで割安化した日本株に見直し買いが入る。日本銀行総裁の人事案が国会に提出される可能性もある。黒田東彦総裁の再任あるいは中曽宏副総裁昇格の道筋が示されれば、現状の金融政策継続への安心感から円安・株高要因になる」

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