「混乱承知で改革」、トヨタの新CFOが決算デビュー

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  • 会議は資料なし、原価低減活動を加速-為替に左右されない体質へ
  • デンソー副会長からトヨタ副社長、豊田社長の補佐役として改革先導

1月に最高財務責任者(CFO)に就任した小林耕士副社長(69)

Photographer: Akio Kon/Bloomberg
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トヨタ自動車が今期(2018年3月期)の利益予想を上方修正し、同社の株価は7日、約1年3カ月ぶりの大幅上昇となった。前日には1月に最高財務責任者(CFO)に就任した小林耕士副社長(69)が初の決算会見で現在進めている社内改革の一端を説明、アナリストからはトヨタの足元の財務体質の改善を評価する声が聞かれた。

小林耕士副社長

Photographer: Akio Kon/Bloomberglp

  「会議体を全部変えている」、「大きな会議でも資料はほとんどなし」-。小林副社長は6日の都内での会見で、就任以来加速させているという社内改革の中身について話した。豊田章男社長の補佐役で「社長の悩みや希望とか戦略について、即座に実施するのが私の役割」だとし、豊田社長が掲げる迅速な意思決定ができる組織作りを進めているとした。

  トヨタは米国の法人税率引き下げなどで今期の純利益予想をこれまでより4500億円増額し、過去最高となる2兆4000億円に引き上げた。営業利益も円安が大きなプラス要因となったほか原価低減の努力も奏功し前期比10%増の2兆2000億円(従来予想は2兆円)に上方修正した。これを受けて7日のトヨタ株は前日比大幅高で取引を開始、一時16年11月10日以来の日中上昇率となる前日比5.7%高の7704円まで上昇し、7372円で取引を終えた。

  ゴールドマン・サックス証券の湯澤康太アナリストは6日付のリポートで、10ー12月期の営業利益は同証予想の4500億円から大きく上振れ、円安効果などを除くファンダメンタルズの改善は50億円と小幅ながら、前年同期比プラスを確保した点は好印象と評価。マッコーリーキャピタル証券は投資判断を「アウトパフォーム」に格上げした。

  小林氏は会見で通期営業利益の上方修正について、為替の影響を除けば減益であり「まだバツだと思っている」と評価。為替に影響されない体質作りを強化していきたいと話した。

トヨタの顧問、相談役歴任

  小林副社長は滋賀大学経済学部卒後、72年にトヨタ自動車工業(現在のトヨタ)入社。財務部主査まで務め、00年に金融子会社に出向。その後、系列部品メーカーのデンソーに移り副会長にまでなった。16年以降トヨタで顧問、相談役を経て副社長に就任していた。
  1月1日付の人事では、小林氏のほか2人が新たに副社長に昇格。小林氏の前任のCFOだった永田理取締役は副社長を退任した。小林氏は新体制で相当な勢いで原価低減、生産性向上に取り組んでおり、「原価低減効果は従来よりも速度を増してでてきている」と指摘。急激な変化に「社内は多少混乱している」ものの、「それを承知でやっている。定着すれば本当の体質改善できちっと収益が稼げる体制になる」と述べた。

  自動車調査会社、カノラマの宮尾健アナリストは、年末から年明けにかけて電動化に向けた戦略を打ち出したうえ、自動車会社を超えて移動を助けるモビリティ・カンパニーへと変革しようとしている中で、トヨタに向けた「アゲンストの風向きは変わってきている」と指摘。一方で決算会見では過去の決算と比べて「目指す方向性がどのように変わってきているのか、会社がどのようなビジョンをもっているのか、なんのために原価削減していくのかというメッセージが少しでも見たかった」と話した。

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