Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

日米暴落連鎖、震源地落ち着き待ち月内波乱か-日本株は割安感が支え

  • 適温相場に動揺、投機マネーもリスクオフモードに-野村証
  • 昨年9月以降の半値押しは2万1699円、200日線にも接近
Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

米国の長期金利上昇を機に揺らいだ「適温相場」。低金利と好景気の共存シナリオが崩れるとの警戒感は世界の株式市場を直撃し、米ダウ工業株30種平均はわずか2日で1840ドル、日経平均株価も1600円以上の暴落に見舞われた。市場関係者は震源地米国の落ち着きを待ちつつ、月内の波乱継続を視野に入れる。

  みずほ証券の倉持靖彦投資情報部長は、米国ではS&P500種指数が200日移動平均線から一時12ー13%も乖離(かいり)し、「いつ調整してもおかしくない状況だった」と指摘。金利急騰を引き金にリスクパリティ型ファンドはじめ、株式投資家がポートフォリオ調整の持ち高調整売りに動いたとし、「ファンダメンタルズの材料というより完全に需給調整で、マネーフローが変わってしまった」とみている。

株価ボードに映る歩行者

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  ソシエテジェネラル証券の杉原龍馬株式営業部長は、「世界的株安の震源地である米国株がいったん下げ止まらなければ、投資家は冷静に相場環境を考えづらい」との認識だ。投機資金の動きを分析している野村証券・金融市場調査部の髙田将成クオンツ・ストラテジストは、「米国株急落、ボラティリティー急騰、センチメント悪化と典型的なベア局面の症状を確認し、リスクオフ局面に突入した」と判断。アルゴリズム勢のポジション解消が急ピッチで進んだ結果、「ガス抜き的な調整であれば、6ー7割程度は既に完了」との見方も示した。

  2日の米雇用統計で平均時給の予想以上の上昇を確認し、インフレ懸念の高まりから米10年債利回りは一時4年ぶり高水準となる2.8%台に上昇した。急ピッチの金利上昇が米経済や株式市場を冷やすとの懸念は、米国株投資家の恐怖心理を表すCBOEのボラティリティー指数(VIX)が15年8月以来の高水準に急騰したことからもうかがえる。

  みずほ証の倉持氏は、「米国株がこれだけ急落すると、日本株も影響は避けられない」と今後は日柄調整の局面に入ると予想。三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストも、「日本株も適温相場に対する見方が動揺している。2月いっぱいは値幅が振れやすい展開が続きそうだ」と話す。

  米国株の調整が長引いた場合、日本株も連鎖的に下げ続けるのか。市場参加者の多くは、現時点では冷静な見方を維持している。企業業績などファンダメンタルズの好調、株価収益率(PER)など投資指標面からみた割高感の解消が進んだためだ。損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの上野賢司シニア・インベストメントマネジャーは、「景気をオーバーキルするようなところを織り込む必要はない。企業業績は堅調で、景気も良い。今回の調整は短期的なものだ」と受け止める。

  三井住友アセットの市川氏は、米長期金利は株安を受け騰勢を弱めると予測し、1ー3月期の米10年債利回りの予想レンジ2.4ー3%を維持。「日経平均の予想PERが直近で14倍割れとなったことで、年始からの急ピッチの上昇の調整として評価できる」と指摘した。市川氏によると、同社の調査で日経平均構成銘柄の今期増益率は12ー13%、来期も9.5%の見通し。「ドル・円相場が大きく円高方向に振れない限り、企業業績にも安心感がある。日経平均は想定していた1ー3月期の下限2万2000円を割り込んできたが、ここからの下値余地は大きくない」とみている。

  テクニカル分析面でも、投資家の間で下げ止まりが意識される水準に近づいたようだ。みずほ証の倉持氏は、日経平均は終値で昨年9月の安値1万9274円からことし1月高値2万4124円までの上げ幅の半値押し水準の2万1699円、2万1000円付近の200日移動平均線が見えてくる水準に達し、「テクニカル面からも売りづらい」としている。

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