FRB議長にパウエル氏宣誓就任へ-勢い増す米経済、前途は多難か

  • パウエル新議長、今年3回を超える利上げの必要も
  • 利上げペース加速ならホワイトハウスから厳しい批判か

米連邦準備制度理事会(FRB)の新議長がこれほど良い経済状況を引き継ぐのは久しぶりだ。

  ジェローム・パウエルFRB理事は5日午前、FRBの第16代議長に宣誓就任する。米景気は過去3番目に長い拡大局面にあり、失業率とインフレ率は歴史的低水準にある。

  ノーザン・トラストのチーフエコノミストで元シカゴ連銀スタッフのカール・タネンボーム氏は「世界経済の成長には久々に力強い協調が感じられ、インフレ率は依然低い」と指摘。「インフレを問題視する向きもいるが、ゴルディロックス(適温)の状況と呼ばれた時期と私は記憶にとどめる」と述べた。

  ただ、童話の中の少女ゴルディロックスが物語の最後に3匹のクマに直面したのと同様、新議長も今後、米経済の過熱や冷え込みを防ごうとする中で困難に見舞われる可能性が高い。ここ数カ月の上昇で高値を更新してきた米株式相場はリスクに気づきつつある。ダウ工業株30種平均は2日に約666ドル安と、2016年6月以来最大の下げを演じた。

  インフレ率が目標を下回る水準で低迷しているだけではない。もっと大きな心配は、エコノミストがその理由を完全には理解していない点だ。米失業率は4.1%に低下し、危機時のピークの半分未満で、賃金上昇とインフレを誘発し始めると多くの専門家が考える水準を大きく下回っている。

  こうした状況は、経済が勢いを増す中でどれだけ速やかにいわゆるパンチボウルを片付けるかを検討するパウエル新議長の任務を複雑にする。昨年12月時点の米当局者の予測中央値では2018年に0.25ポイントの利上げを3回実施すると見込まれていたが、さらなる引き上げが必要になる可能性がある。ダラス連銀のカプラン総裁は2日、今年3回の利上げを基本ケースとしながらも、それより多い回数になるかもしれないとの見方を示唆した。

  世界の経済成長は上向き、雇用の伸びは毎月堅調なペースが続いている。議会を通過した減税措置が成立し、企業の投資はここ数カ月に拡大している。一方で、米金融当局が注目するインフレ指標は2017年に1.7%に上昇したものの依然として緩慢な伸びだ。

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)の米経済責任者、ミシェル・マイヤー氏は「朗報はインフレが最近、協力的な動きを示していることだ。しかし、インフレが一段と加速することがなかったり、減速したりすれば、多くの問題を招くことは確かだ」と指摘した。

  また、政治的な火種、特にツイッターで投げ掛けられる火種が横やりを入れる形になる可能性もある。パウエル氏をイエレン前FRB議長の後任に登用したトランプ米大統領は、低金利を好むことを明らかにしている。タイトな労働市場にインフレが最終的に反応してパウエル議長が利上げペースを速めれば、ニクソン政権以来最も厳しい批判の矛先をホワイトハウスから向けられる恐れもある。

原題:Powell Takes Over as Fed Chairman With Economy Primed to Heat Up(抜粋)

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