国内最大労組会長:間違いなく賃金相場は上がる-政府方針や人手不足

  • 内需中心の業界はデフレ圧力強く、粘り強い交渉求められる
  • 最終商品の価格が上がらない限り、デフレの克服はできない
Office workers. Photographer: Tomohiro Ohsumi

国内最大の産業別労働組合、UAゼンセンの松浦昭彦会長は、政府が賃上げ3%目標を掲げる中、今年の春闘では、物価上昇や生産性の向上に加え、深刻化する人手不足を背景に前年の賃上げ水準を上回るとの見通しを示した。2日、ブルームバーグのインタビューで語った。

  約170万人の組合員を抱える同労組は、スーパーや外食など流通サービス産業に携わる組合員比率が高く、女性や短時間組合員の割合はそれぞれ6割を占める。松浦会長は、業界では「人材獲得合戦になっており、時給を上げても来てくれないという悲鳴が上がっている」と述べ、「間違いなく相場は上がる」と予想した。

松浦昭彦氏

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  同労組は、今春闘で基本給の水準を底上げするベースアップ(ベア)を2%とし、定期昇給と合わせて3.6%程度の賃上げを要求する方針だ。2016-17年も同じ2%のベアを要求し、正社員では定期昇給と合わせて2年連続で1.74%で妥結。パートタイマーなど短時間組合員は16年に1.83%、17年に2.11%で妥結した。

  松浦会長は、海外売上高比率の高い大手企業や製造業とは異なり、「国内消費の影響が大きい内需中心のところは、デフレ圧力がまだ強く、国内消費が盛り上がっていない」と指摘。こうした中、賃金の社会水準をクリアし、それを上回るレベルに持っていくために、個々の労使交渉は相当粘らなければならないとの見方を示した。

  一方で、松浦会長は「最終商品の価格が上がらない限り、デフレの克服はできない」と強調。賃上げ交渉の中で、経営側に取引先への値上げ要求を訴えるよう呼び掛けている。これにより、価格上昇による賃上げという流れを醸成したいという。

  政府は賃上げにより消費を喚起し、デフレの脱却や企業業績の改善につなげる「経済の好循環」に期待を寄せる。17年12月に決定した2兆円の政策パッケージでは、生産性向上を推し進めるため、20年度までに16年度比で設備投資額10%増加、18年度以降3%以上の賃上げ目標を掲げ、賃上げや設備投資に積極的な企業に対して国際競争に勝てる程度まで税負担を軽減する措置を実施する方針を示した。

  上部団体の連合によると、18年の春闘では多くの企業が3月14日に賃上げ率を回答する見込み。労務行政研究所が実施した東証1・2部企業を対象とする賃上げ見通しアンケート調査によると、18年の平均賃上げ率は定昇込みで2.13%だった。

  野村証券の水門善之シニアエコノミストは1月31日付リポートで、ベースダウンが一般的ではない日本において、ベースアップは将来にわたる人件費の押し上げ要因となることから、大胆なベア実現は容易ではないと指摘した。

  

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