Photographer: Akos Stiller/Bloomberg

ミレニアル世代トレーダー、仮想通貨の富へ羽ばたく-退屈な銀行逃れ

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銀行業務より仮想通貨で稼ぎたいミレニアル世代のトレーダー

アーサー・ヘイズ氏は2013年に、シティグループの株式トレーダーとして香港で雌伏の時を過ごしていた。フィットネスマニアで早起きの同氏には、当時の金融の世界は退屈だった。香港にやってきた6年前に同氏は、銀行業界の黄金時代を体験していた。ドイツ銀行の株式デリバティブ(金融派生商品)セールスデスク、通称「蛇の穴」で働いていた当時、市場は燃え盛っていた。トレーダーは勝利を祝うためにヘリコプターでマカオのカジノへ繰り出した。スロットル全開のトレーディングフロアの熱狂も、「ドラゴンアイ」クラブで過ごすナイトライフも気に入っていた。しかし金融危機から数年後のシティグループでは、業界は一変していた。実際、ヘイズ氏は危機後の人員削減で職を失おうとしていた。しかし、仮想通貨ビットコインと出会った同氏は平然としていた。

ブルームバーグ・マーケッツ誌2018年3月号に掲載

写真家:Bloomberg MarketsのXyza Bacani

  今日、32歳の同氏は香港を本拠とする仮想通貨取引所、ビットメックスの共同創業者兼最高経営責任者(CEO)だ。ビットコインなど仮想通貨を現物ベースで購入できる他のマーケットプレースと異なり、ビットメックスはエキゾチックな仮想通貨デリバティブを提供する。最大で100対1のレバレッジを効かせて11の仮想通貨の方向に賭けることができる先物を扱っている。ビットコインが急速に値上がりする中でビットメックスは投資家から2000億ドル(約22兆円)を超える注文を受け、2017年に8300万ドル、今年に入り最初の30日で2100万ドルを荒
稼ぎ出した。同社ウェブサイトのデータが示した。世界で最も流動性の高いビットコイン先物取引所を自負している。

  銀行業界を去り、無法地帯に近い仮想通貨の世界に飛び込む金融のプロはヘイズ氏だけではない。彼らは専門知識を生かし、デリバティブやレバレッジ、空売り、価格指数といった伝統的な金融の世界で使われる機能を備えた仮想通貨マーケットプレースをつくり出そうとしている。ビットコインでの貸し出しに参照するための指標金利(BIBOR)の計画まである。

  ヘイズ氏が知っているだけでも、ドイツ銀時代の同僚7人が仮想通貨の業界に入った。このうち大半はヘイズ氏と同時期の約10年前に、ドイツ銀の大学院生向けプログラムに参加した。皆、銀行が肩で風を切る時代が終わりボーナスと人員を減らす時期に大人になった。「自分たちは金融が最高潮にあった時代を逃した」と、トレーニングウエアで会議に出ることで知られていたヘイズ氏は話す。「われわれが過ごしたのは衰退の時代だ。金もリスクもフローも少なく退屈だった。80年代終わりや90年代のトレーディングはこんな風だったに違いないと、ビットコインは私たちに感じさせてくれる」という。

ブルームバーグ・マーケッツ誌に掲載

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  ヘイズ氏とミレニアル世代の仲間たちは今、さばききれないほどの動きに取り囲まれている。いつかはじける巨大なバブルと多くが見なす仮想通貨は、銀行業界に期待して得られなかったトレーディングの熱狂と富を自分たちにもたらしてくれると考えている。

  ビットコインは1月の16日間に41%値下がりし、1月31日は9934ドルだった。恐れていた崩壊がついに始まったと危惧する人もいる。しかしヘイズ氏は心配していない。ボラティリティーが特徴のビットコインにとって「これは全く正常なリトレースメントだ。これがビットコインのビットコインたるゆえんだ」と同氏は話した。

原題:Millennial Traders Flee Boring Banking to Chase Riches in Crypto(抜粋)

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