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トランプ大統領が一般教書演説、富と好機の「新時代」と実績誇示

更新日時
  • トランプ氏が上下両院合同本会議で初の一般教書演説
  • 共和、民主両党の協力得るため敵対的な文言を演説で回避

トランプ米大統領は1月30日夜、上下両院合同本会議での初の一般教書演説で、富と好機に恵まれた「米国新時代」が到来したと述べ、自分が大統領として米国に繁栄をもたらしたとこれまでの実績をアピールした。

  大統領は共和、民主両党の協力を得るため、演説でいつものような敵対的な文言を控え、自らの政権は「安全で強く、誇り高い米国」建設に向け取り組んでいると訴えた。また、自分は米国を「一つのチーム、一つの国民、一つの米国の家族として」団結させると表明した。

Donald Trump

一般教書演説するトランプ大統領

Photographer: Win McNamee/Pool via Bloomberg

  トランプ大統領はインフラストラクチャーや貿易などの政策課題で「経歴、人種、信条を問わず、全ての米国市民を守るため、今晩、私は民主、共和両党メンバーに協力を呼び掛ける」と訴えた。演説は約1時間20分間に及んだ。

  ホワイトハウスは同演説を経済の成功をアピールすると同時に、国民を勇気づけ、超党派の結束を呼び掛ける場として位置付けた。

  トランプ大統領は「税制改革法が成立して以来、約300万人の米労働者が既に賞与を受け取っており、その多くは一人当たり数千ドルを手にした」と成果をアピール。「つまり、これはわれわれの新米国時代だ」と語った。

  民主党は大統領が統合と平等という共有目標の概念を破壊したと批判。トランプ氏の大統領当選に貢献した労働者らを犠牲にして、強者の利益を優先していると指摘した。

民主党は批判

  故ロバート・ケネディ元司法長官の孫である民主党のジョー・ケネディ下院議員は民主党の公式コメントで、「現政権はわれわれを守る法律だけでなく、われわれ全員が保護される価値があるという考えもターゲットにしている」と述べた。

  シューマー民主党上院院内総務は、「分裂を促す長い1年の後、多くの米国民は国が結束するビジョンを大統領が示すことを切望していた。残念ながら、大統領の今晩の演説はわれわれを団結させるどころか、分裂の火種となった」と指摘した。

  トランプ大統領はまた、「米国民もドリーマーだ」と述べ、幼少期に親に連れられ米国に入国した不法移民の若者「ドリーマー」をやゆした。さらに、犠牲になった米軍兵士に言及し、それが国歌斉唱時に誇りを持って起立する理由だと主張。試合前の国歌斉唱時に人種差別への抗議を表すため、手を組んでひざまずいたり、拳を上げたりしている米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)の選手を暗に批判した。

  大統領は一般教書演説で処方薬批判も展開。「不当に高い薬価の是正をわれわれの最優先課題の一つ」にすると明言した。

  トランプ大統領は2016年大統領選挙でのロシアとトランプ陣営との共謀疑惑や、連邦捜査局(FBI)トップによるトランプ大統領捜査を批判した下院共和党の文書などの問題については言及しなかった。

  その代わり、経済の改善が米国民全員の助けになっているというテーマを展開。中心になったのは減税礼賛と、トランプ大統領が「不公正」だと主張する貿易協定を是正するという公約だった。

State Of The Union Address

トランプ大統領は上下両院合同本会議で演説

Photographer: Al Drago/Bloomberg

  大統領は演説で「われわれの繁栄を犠牲にし、われわれの企業や雇用、国の富を海外に流出させた過去数十年間の不公正な貿易協定を米国はついに終わらせる次のページをめくった」と述べた。

  トランプ大統領は国家主義的な問題にも言及。キューバ・グアンタナモ米軍基地の捕虜収容所を維持する大統領令を発表。また、エルサレムをイスラエルの首都と米国が認定したことへの国連総会での非難決議に十数カ国が賛成票を投じたとした上で、対外援助が「米国の友好国のみに渡る」ようにする法案を通過させるよう議会に求めた。

インフラ計画

  この日の演説ではインフラ整備計画が柱の一つとなった。大統領は議会に対し、少なくとも1兆5000億ドル(約163兆円)相当のインフラ建設案を通過させるよう求めた。連邦政府支出を呼び水に、州や地方、民間セクターによる支出を促す計画だ。

  トランプ氏は「米経済にとって必要で、国民にふさわしい安全かつ高速で、信頼できる最新のインフラをわれわれに提供するよう、両党に協力を求める」と呼び掛けた。

  こうした取り組みの一環として大統領は、建設開始に先立って大型プロジェクトが直面する一連の連邦規制の簡素化を望んでいる。だが、大統領の計画には直接的な支出に乏しいとの懸念や、官僚主義的手続きの効率化の名の下に重要な環境保護が骨抜きにされかねないとの声が上がっている。

  「米国は建築者の国だ。エンパイア・ステート・ビルディングの建設には1年しかかからなかった。1本の単純な道路の建設許可を得るだけで10年を要するような現状は不名誉ではないか」と、大統領は演説で問い掛けた。

移民制度見直し

  ホワイトハウスは移民制度見直しを巡る大統領の提案も民主党からの支持を得られると考えており、大統領がより中立的な表現を用いることで、人種問題の色合いが強い議論に変化をもたらすことができると期待している。

  トランプ政権は「ドリーマー」180万人に市民権を得る道を開く案を示している。その一方で、「連鎖移民」の制限や、メキシコとの国境の壁建設を含め治安強化のための250億ドルの信託基金を提案に掲げる。

  大統領は「米国の労働者と家族の利益に最もかなうことに重点を置いた移民政策が、移民コミュニティーを中心とした苦境にあるコミュニティーを助けることにもなるだろう」と論じた。

外交政策

  外交政策も同様の問題を抱えている。ホワイトハウス顧問らは、トランプ大統領が米国のために戦う米軍兵士らの勇敢さと自己犠牲を強調することにより、戦争と平和の問題で結束を目指していると説明しているが、議員らは大統領の北朝鮮に対する好戦的な態度を疑問視しているほか、イランとの核合意を覆そうとする大統領の動きを懸念している。

  トランプ大統領は一般教書演説で、過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いの成果を誇るった。IS掃討作戦を展開する有志連合の調整を担当するマクガーク米大統領特使によれば、ISはシリアとイラクの支配地域の98%を失った。

  大統領は「昨年、私は同盟国と手を組んで、ISを地上から抹殺することを目指すと約束した。1年たった今、有志連合はイラクとシリアのIS支配地域のほぼ全てを解放したと、報告できることを誇りに思う」と語った。

  米朝関係の緊張が高まる中、トランプ大統領は野蛮で「腐敗した」政府が米国を脅かす核兵器を手に入れようと必死になっていると、北朝鮮を非難。「北朝鮮の向こう見ずな核ミサイル開発の取り組みにより、近いうちに米国本土が脅かされ得る」とした上で、「われわれはそのような事態に至らないよう、最大限の圧力を加える活動を行っている」と説明した。

  大統領は、1年5カ月の間北朝鮮に拘束され、昨年6月に昏睡(こんすい)状態のまま釈放された後死去した米バージニア大学学生のオットー・ワームビア氏について言及。同氏の両親を紹介した。

  大統領の側近によれば、一般教書演説は数週間かけて仕上げられた。大統領が手書きで編集を加え、キャッチフレーズについてアイデアを示すなどした。執筆に携わったのは上級顧問のスティーブン・ミラー氏、スタッフセクレタリーのロブ・ポーター氏、スピーチライターのビンス・ヘイリー、ロス・ワージントン両氏ら。

トランプ大統領が一般教書演説

(Source: Bloomberg)

原題:Trump Connects Presidency With Prosperity in ‘American Moment’(抜粋)

(北朝鮮に関する発言などを追加して更新します.)
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