FRBのかじ取り、パウエル氏にバトン-緩やかな利上げペース再考か

  • ダボス会議でバンカーはバブルや米金融当局のハト派姿勢に懸念表明
  • パウエル次期FRB議長、メッセージの明確性向上が至上命題に

米国の労働市場は活況を呈し、インフレ加速の兆しは一段と広範なものとなっている。過去10年間続いてきた世界的な景気回復も高速ギアにシフトする勢いだ。

  米連邦準備制度理事会(FRB)では、イエレン議長が今週いっぱいでパウエル理事にポストを譲り渡すことになるが、脆弱(ぜいじゃく)な回復と低インフレへの対応を念頭に置いてイエレン議長が主導してきた緩やかな利上げのアプローチは小出しの観が強まっている。

  こうした中での議長交代は新たなアプローチへの転換にちょうど良いタイミングと言えそうだ。

パウエル次期FRB議長

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

  パウエル氏は世界的に株価が上昇し、新興市場経済が商品相場高の恩恵を受ける中での議長就任となる。欧州やブラジルでも景気が回復し、国際通貨基金(IMF)は今年の世界経済見通しを上方修正した。米国の減税は個人消費と企業投資を一段と後押しし、さらなる追い風となりそうだ。

  だが、米金融当局の政策変更は現在、タイミング面で束縛されている。30、31両日の連邦公開市場委員会(FOMC)後に利上げ発表があるとの予想は皆無だが、投資家は今年3回の利上げを見込んでおり、そのいずれもFOMC後に議長の記者会見が予定されているタイミングだ。

  新体制の下で金融政策引き締めのペースを速める必要があるか、これまでのペースを維持するかを議論するに当たり、パウエル氏はこうした制約に早急に対処する必要があるかもしれない。

  バークレイズのジェス・ステーリー最高経営責任者(CEO)は先週、スイスのダボスで、「経済的に見て、われわれは極めて良好な状況にあるが、金融政策はいまだに不況期の名残であるかのような状態だ」と指摘した。

  ダボスで開催の世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)に集まったバンカーらが懸念を口にしたのは、米金融当局者が低過ぎると考えて緩やかな利上げの論拠とするインフレ率ではなく、資産バブルとそれが破裂した場合の影響だった。

  ドイツ連邦銀行総裁を務めたUBSグループのアクセル・ウェーバー会長はダボスで、「バブルが形成されつつある。インフレだけでなく市場に対する現行の金融政策の影響について、セントラルバンカーは現時点でもう少し注視しなければならない」と語った。

米議会からも期待

  エコノミストの一部はパウエル次期議長率いるFOMCの課題として、予想よりも急速に好転する可能性のある経済情勢に対し、これまでよりも敏感に反応を示す必要性を挙げる。それには少なくとも次の3つの方法があるだろう。

  まず、年8回開催のFOMCのうち、議長が会合後に記者会見を行うのは四半期ごとの計4回となっているが、これを毎回に切り替えることが改善策の1つに考えられる。当局者は全ての会合が「ライブ」で金利変更の可能性があるとしているが、投資家は記者会見の予定されていない会合での政策変更の公算はずっと小さいと捉えている。

  次に改良の余地があるのは、現在のFOMC声明が当局者のベースライン予測に過度に依存している点だ。現状では、基本的ケース以外のシナリオに当局者が置いているウエートや、それがどのように変化しつつあるかに何も言及がない。

  これから導き出される3つめの点として、パウエル氏は見通しへの顕著なリスクや、当局としてどう対応する可能性があるかを語ることができると、ダートマス大学のアンドルー・レビン教授は指摘する。同教授は「パウエル氏には金融当局の透明性を高め、一段とシステマチックな組織とする使命がある。米議員の多くが期待しているものであり、パウエル氏は前進させることができるだろう」と話した。

原題:Powell Era Arrives as Fed’s Gradual Pace Looks Ripe for Rethink(抜粋)

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