コインチェック問題、週明け影響広がり見られず-金融庁は処分

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  • 行政当局は立ち入り検査も検討、「連携して原因究明」-菅官房長官
  • ビットコインは反発、決済通常も、仮想通貨管理強化は必要との指摘

Cables connect to a cryptocurrency mining rig at the HydroMiner GmbH cryptocurrency mining facility near Waidhofen an der Ybbs, Austria.

Photographer: Akos Stiller/Bloomberg

仮想通貨取引所大手のコインチェック(東京・渋谷)で26日、580億円もの顧客資産の不正流出が発覚した。その後初の営業日となった29日の仮想通貨関連市場は、ひとまず平静を保っているようだ。ビットコインなど他の仮想通貨の取引や決済は通常通り行われている。

  家電量販店大手ビックカメラでは、インターネット通販でのビットコイン決済を通常通り受け付けている。広報担当の山崎哲哉氏は「当社はビットフライヤー社のシステムを使っているため、今回のコインチェック問題は関係ない」と話している。

  この問題では管理体制不備などで仮想通貨「NEM(ネム)」が流出したが、コインチェックは28日、ネムを保有する約26万人全員に日本円で返金すると発表した。自己資金から実施するとしているが、時期や手続きの方法については検討中という。ネム以外の仮想通貨の毀損(きそん)は確認されていない。

  金融庁は29日、コインチェックに業務改善命令を出した。原因究明や顧客への適切な対応、経営管理の強化、責任の所在の明確化などを要請、2月13日までの報告を求めた。再発防止計画の提出を受けた後、立ち入り検査も検討している。同庁は昨年、利用者保護に向け取引業者を登録制にしたが、コインチェックは申請中の段階だった。

セキュリティー強化の必要性

  コインチェックの和田晃一良社長によると、同社は常時ネットワークにつながっている「ホットウォレット」という手法でネムを管理体制していた。オフライン管理の「コールドウォレット」への移行は人手不足などで間に合わなかったという。セキュリイティ-高度化のための「マルチシグ」という技術の導入も遅れていた。

  情報セキュリティー対策が専門のエルプラス代表の杉浦隆幸氏は、仮想通貨取引では常に顧客資産の流出リスクはつきまとうと指摘。「ビットコインの歴史は長く利用者も多いため、不正アクセス問題が起これば、その分ダメージも大きくなる。今回の問題を教訓に、より一層セキュリティー対策に力を入れるべきだ」と話した。

  ヤマダ電機は27日から新宿や東京駅にある店舗でビットコインの店頭決済を試験的に導入したばかりだが、特に方針の変更などはないという。今後の他店舗での導入について広報担当の小野浩司氏は「2店での使用状況をみた上で検討していく」としており、今回のコインチェックの問題の波及はみられない。

個別の問題か

  代表的な仮想通貨であるビットコインは29日の取引で一時8.4%高と反発。1万1784ドルを付け1月15日以来の高水準に値を戻している。ビットコインは2017年12月半ばの1万9511ドルから約1カ月間でほぼ半値(1月17日に一時9185ドル)に下落、その後は1万ドル台前半でもみ合っている。

  水戸証券投資情報部の岩崎利昭情報課長は、コインチェックの管理体制について、ネットワークから切り離して管理するコールドウォレットを使っていないなどの点から、「個別の問題と捉えられ、NEM以外の仮想通貨全体への価格などには影響がないとの見方がある」と指摘した。

  航空券購入などのビットコイン決済でリミックスポイント子会社のビットポイントジャパンとシステムを開発中の格安航空会社ピーチ・アビエーション広報担当のエルドリム・ファーティ氏は、被害にあったのはビットコインとは別の仮想通貨で「特にわれわれのプロジェクトに影響があるとは考えていない」と述べた。

  菅義偉官房長官は29日の会見で、「まず今回の事件の原因究明、必要な対応を講じた上で、関係省庁でさらにどのような対応が必要か早急に検討する」などと述べた。

(第4、5、最終段落に金融庁の発表や背景説明などを追加しました.)
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