ネットで買えないもので勝負、「ハロッズ」が大変身

  • ハロッズはネット上で入手できないものを提供することを目指す
  • ロンドン市民の来店増が目標-食品・レストラン担当ディレクター

英高級百貨店ハロッズは、世界中から買い物客が集まる店だ。しかし、ロンドン市民に最後に訪問したのはいつかと尋ねたら、けげんな顔をされるかもしれない。

老舗高級百貨店のハロッズ:フードホールを華々しく新装開店

  ロンドンのナイツブリッジ地区にあるハロッズは、市内でも有数の歴史的建造物であるバロック様式の建物に店を構える。観光スポットの一つと片付けられがちなこの店には、観光客やヘッジファンド運用者が足を運ぶ。また、王室御用達の店でもあり、雨の日には運転手が外に高級車ベントレーを止めて待機する。

「ティー・テーラー」はオーダーメードのブレンド茶を作ることができる

写真家:Chris Ratcliffe / Bloomberg

  ハロッズは多くのロンドン市民が牛乳や肉を買う場所ではない。食品売り場はマスタードから希少なシャンパンまでありとあらゆる商品を取りそろえているが、ここ数年はくたびれたように見え始めていた。レトロというより時代遅れ。

  それが控えめに言っても変化しつつある。カタールの政府系ファンドがオーナーであるハロッズは改装に着手。4つの食品売り場のうちの1つである「ロースタリー・アンド・ベーク・ホール」は昨年のクリスマス直前にオープンし、残りの3つも今後2年間で段階的にオープンする予定だ。これは約30年ぶりの大規模な変化となる。

ピンクペッパーなどさまざまなスパイス類

写真家:Chris Ratcliffe / Bloomberg

  アマゾン・ドット・コムが優位なこの時代に、ハロッズはインターネット上で入手できないものを提供することを目指している。特に、実際に商品を目や鼻で確かめてもらい、店内の専門家に相談した上で購入を決定できるようにするのが狙いだ。

  売り場には、ミシュランの星を獲得した店で一流シェフと働いた経験があるパン職人のランス・ガードナー氏ら大物も勤務する。ガードナー氏は買い物客の目の前でパン作りを行う。

左上から時計回り:(1)パンを自分好みにアレンジできる(2)パン職人は顧客の目の前で働く(3)バリスタにカプチーノの泡にデザインを描いてもらえる(4)常にひきたてのコーヒーを提供する

写真家:Chris Ratcliffe / Bloomberg

美しく絶品のケーキ

写真家:Chris Ratcliffe / Bloomberg

  言うまでもないが、商品は安くはない。 「オーダーメードのお茶体験」の価格は30ポンド(約4650円)。1斤5ポンドのパンを自分好みにするには、さらに4ポンドかかる。ケーキは実に美しく絶品であるが、それもそのはずだ。中には50ポンドするものもあるからだ。

  ハロッズの食品・レストラン担当ディレクター、アレックス・ダワー氏は、ロンドン市民の客足を増やすことが目標だと語った。

  私は何度か説得されてようやく新しい食品売り場、ロースタリー・アンド・ベーク・ホールに足を運んだ。富裕層や観光客相手の大企業より、小さな小売業者や地元のマーケットを応援したいというのが、ちゅうちょした大きな理由だ。しかし、私は考えを改めた。ハロッズの食品売り場は一見の価値がある。

  (バインズ氏はブルームバーグの料理評論家です。Instagram @ richard.vines、Twitter @richardvines

原題:Harrods Famed Food Halls No Longer Just for Princes and Tourists(抜粋)

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