日本郵政社長:ゆうちょ銀で攻めの資産運用-「もう少し冒険も」

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  • 自己資本比率約20%、含み益4兆円超-「クッションある」
  • 投資対象は収益上がれば何でも検討、リスク管理は強化-長門社長

日本郵政は、急速に資産ポートフォリオを組み換えつつある子会社のゆうちょ銀行について、まだリスク資産を増やす余地があるとし、一段の攻めの資産運用をしていく方針だ。ゆうちょ銀行は、同グループ経常利益の56%を稼ぎ出している。

  日本郵政の長門正貢社長(69)は19日のブルームバーグの取材に対し、ゆうちょ銀の運用方針に関して「自己資本比率ベースではまだ少しゆとりがある」と述べ、「運用姿勢、含み益の水準からみても少しクッションがあり、もう少し冒険できると思う」とした。同行の自己資本比率は、昨年9月時点で国内基準行として求められる水準(4%)の約5倍に当たる19.64%。保有有価証券の含み益は3月末で4兆円超となっている。

長門社長

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  同行は国債中心の守りの運用機関から、国際的な機関投資家に姿を変えつつある。上場した2015年に、元ゴールドマンサックス証券副社長の佐護勝紀氏を運用担当責任者として招請。15年3月末に運用資産の52%を占めた国債は17年9月末には同31%に急減した半面、株式や外国証券、オルタナティブなど積極投資型のサテライトポートフォリオ(SP)は48兆円から73兆円に増えた。リスク資産の増加に伴い、自己資本比率は38.42%から約半分となった。

過大なリスク控える

  長門社長はSPについて資本政策上「あらかじめ決められた天井はなく、残高はあくまで上げるべき成果の大きさとの関係で決まる」とし、例えば「90兆円で苦しくなるとは思っていない」と述べた。資産の種類については「新興国、為替、その他新規のものなど収益が上がる可能性があれば何でも検討する」としたが、併せてリスク管理体制を強化したとし、過大なリスクテークは控える。オルタナティブの投資残高を現在の8360億円から5、6年で約6兆円に積み増すというペースは早めない。

  マネックス証券の大槻奈那チーフアナリストは、同行の業績を占う上で「自己資本比率は注意すべきポイントの一つ」とし「低下ペースが速く、このままでは数年で地銀上位行と同等のレベルにまで下がることになる」と懸念を示す。運用方針については預金が原資であることから「預金者も大切なステークホルダーであり、その目線で考えればリスク量はおのずと決まってくるのではないか」と指摘した。

  日本郵政にとって、今年度は期間3年の中期経営計画の最終年度に当たる。昨年度は、豪物流子会社トール・ホールディングスの減損処理で最終赤字となったものの、今年度は中計最終目標である最終利益4000億円(子会社株式売却による修正値)を掲げている。長門社長によると「今のところ巡航速度、むしろ好調なぐらい」だという。

  一方、収益の大半を稼いでいるゆうちょ銀、かんぽ生命の株式は最終的に全て手放すことが法令で決まっており、当面は現在89%の保有比率を段階的に50%程度に落とす方針だ。長門社長は金融2社の段階的売却について「日本郵便のユニバーサル・サービスの提供能力に影響がないことを確認しつつ、また市場に変なインパクトがないように進めたい。5割となった時点で一度立ち止まって確認する」と述べた。

  成長戦略については「郵便の収益力を高める」といい、金融2社株の5割までの売却で得る4兆円程度を留保せず「そのために投資する」とした。具体的には、ロボットへの設備投資、企業の合併・買収(M&A)や提携の費用など幅広く検討するとしている。大槻アナリストは「方向性は間違っていないが、時間軸が気になる。株式売却によって収益が失われるのは一瞬だが、ロボティクス投資などで果実を得るのは時間がかかる。時間的な不透明感を投資家にどう説明するのか、手腕が問われる」と述べた。

(第5、8段落にアナリストコメントを追加します.)
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