中国、一段と露骨に領有権主張も-「米国第一」がアジアに波紋

  • 台湾周辺の哨戒活動は「ニューノーマル」-中国空軍報道官
  • 日台に戦略あるとも言えるが機能していない-ドレイヤー教授

米国のトランプ政権が北朝鮮との戦争の可能性を警告するのと同時に、米国と同盟関係にあるアジアの国や地域は別のリスクに警戒を強めている。西太平洋における中国との武力衝突だ。

  中国は最近、太平洋で軍事的プレゼンスを拡大するという長期戦略の一環として、日本や台湾の周辺海域で空軍と海軍の哨戒活動を活発化。日台は防衛力を強化する一方で、中国政府に対しそうした軍事活動を控えるよう要求している。

  日本政府は今月に入って、尖閣諸島付近の接続海域を航行していた潜水艦が中国海軍所属であると確認したと初めて発表。その少し前には台湾の蔡英文総統が中国軍による台湾周辺の哨戒活動増加は地域の安定を損なう恐れがあると警告していた。

  トランプ米大統領が打ち出した「米国第一」路線は、軍事・経済的影響力を強める中国の圧力を食い止めるという点で米軍が信頼に足るかどうかを巡りアジアで疑念を広げた。中国は台湾を本土と統一するという長期目標を掲げるほか、ベトナムやインドなど多くの国と領有権を争う。尖閣諸島についても中国は領有権問題があると主張している。

  シンガポール国立大学の荘嘉穎助教授は「トランプ政権は予測不可能で、これが日本と台湾に防衛に一段と力を入れることを促している。当事者全てが同時に安心する形で問題が解決されない限り、こうした行動が東アジアの緊張を高め、ある種の偶発的事件を引き起こす可能性を高め得る」と述べる。

  トランプ大統領は就任以降の習近平・中国国家主席とのやり取りで、ほとんど北朝鮮と貿易問題に焦点を絞っており、中国は今後、一段と露骨に領有権を主張する可能性がある。

「キャベツ戦略」

  中国外務省は週末、フィリピンなどと領有権を争うスカボロー礁(中国名・黄岩島)の12カイリ内を米軍艦船が航行したとし、南シナ海における主権を守るため「必要な措置」を講じると表明した。また、 中国空軍の申進科報道官は先月、戦闘機や爆撃機、偵察機による台湾周辺の哨戒活動は「新常態(ニューノーマル)」だと明言。尖閣諸島周辺の接続海域での中国海軍の活動についても正当性を主張している。

  日本を先週訪問したオーストラリアのターンブル首相は、安倍晋三首相と共に陸上自衛隊の駐屯地を視察した。2016年の著書で日中関係について論じたジューン・トーフル・ドレイヤー米マイアミ大学教授によれば、中国は領有権を争う海域に徐々に自国の安全保障のために幾つもの層を築く「キャベツ戦略」を採用している。同教授は「台湾と日本にも戦略があるとも言えるが、状況を安定させ続けるための水準に抑止力を引き上げる程度のものであり、機能していない」と指摘している。

原題:As Trump Focuses on North Korea, China Pushes Into West Pacific(抜粋)

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