オアシス:GMO創業者の「支配的影響力」批判、統治改善を提案

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香港に拠点を置くヘッジファンドのオアシス・マネジメントが、総合IT企業のGMOインターネットに対してコーポレートガバナンス(企業統治)の改善提案を行った。19日朝に正式発表した。オアシスは現在、同社株式を5%超保有しており、今春開催見込みの定時株主総会への株主提案を今週発送した。

  発表資料によると、オアシスは株主提案として、買収防衛策の廃止のほか、定款変更による監査等委員会設置会社から指名委員会等設置会社への移行、取締役社長と取締役会議長の兼任禁止、少数株主に有利な累積投票制度の採用などを求めている。

  オアシスは資料で、GMOの長期的な株価低迷の一因として、現状のガバナンス体制ではGMO創業者で約41%の株式を保有する筆頭株主の熊谷正寿会長兼社長らに対する十分なけん制機能が働いていないことを挙げている。GMOの時価総額は上場8子会社の同社持ち分の時価総額合計を下回る状況が続いており、市場からマイナス価値の評価しか得ていない現状を株主として甘受できないとしている。

  オアシスは今回の提案について資料で、GMOが「持続的な成長を実現することができるガバナンス体制への変革を実現することを目的としている」と説明している。

  GMOはネットインフラ、ネット証券、ネット広告などを手掛ける総合ITグループの中核会社。GMOクラウド、GMOクリック証券など多くの上場・非上場グループ企業を抱える。昨年12月には、本体で仮想通貨のマイニング事業に参入。2016年12月期の通期売上高は1350億円、純利益は72億円だった。

GMO「取締役会で内容検討」

  GMOは19人の取締役のうち3人を社外取締役とするなど、コーポレートガバナンスを重視するとしている。一方で、オアシスが昨年の定時株主総会で投票結果を算出したところ、熊谷氏の議決権を除いた少数株主では過半数を超える54%が熊谷氏の選任に反対していたという。オアシスは「少数株主はより厳格なガバナンス体制への移行を求めている」と主張している。

  買収防衛策を例にとると、ガバナンスコードは「経営陣の保身を目的としてはならない」と慎重な運用を求めている。オアシスの紫垣拓也アナリストは「今は買収防衛策に期限を設け、更新するかどうかを総会の決議事項とするのが主流だ」と指摘するが、同社は06年に株主総会ではなく取締役会の決議で買収防衛策を決議し、その後見直しはしていない。企業合併・買収(M&A)助言のレコフによると、国内で買収防衛策を廃止した上場企業は17年末までの累計で258社。導入企業の4割近くがすでに廃止した計算という。

  また、オアシスは少数株主の唯一の権利行使の場である株主総会での取締役の選任において、熊谷氏が大株主として実質的に支配的な影響力を持っており、経営と監督が適切に分離されているとは到底言えない状況だと指摘。今回提案した累積投票制度は、取締役候補者の数を乗じた議決権が割り当てられ、それを全て1人に割り当てることもできる方式。紫垣氏によると、欧米の企業などで導入事例があるという。

  事業戦略のように直接的に業績に跳ね返らないガバナンス改革を求める狙いについて、紫垣氏は「提案を取り入れてもらうことで、意思決定のプロセスが変わり、会社としてより強くなる。GMOのガバナンスに懸念をもつ少数株主はほかにもおり、改善されれば株価にポジティブな要素となる」と話している。19日のGMO株は一時前日比4.9%高まで上昇、終値は同4.7%高の2002円だった。

  GMOは19日、同社ウェブサイトでオアシスから株主提案を受けたことを公表。内容について「当社取締役会にて検討を行い、対応方針等については適時適切にお知らせする」とした。

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