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九州FG:証券参入へ、野村、大和から役員-3年後に100人体制

更新日時
  • 預り資産1億円以上の富裕層に照準、「5割は現預金」-西本社長
  • みずほ証、SMBC日興からも出向、専門知識の吸収狙う

九州フィナンシャルグループが22日、証券ビジネスに参入する。野村ホールディングス大和証券グループ本社からの出向者を役員として招請、約60人の陣容で業務を開始する。

  九州FG証券の西本純一社長(61)はブルームバーグの取材に対し、野村HDや大和証Gなどから約10人の証券業務の専門家を同社の執行役員や支店長クラスに迎え入れたと述べた上で、今後3年をめどに証券の従業員数を100人体制に拡充したいとの考えを示した。

  西本社長は東京でのインタビューで、「まず一番は人、できる人をどれだけつくるかが課題だ」とし、大手証券からリテール業務のノウハウを学び「証券の専門知識を持つレベルに引き上げる必要がある」と指摘。また、証券業務に携わった人材を3年後に銀行に戻すなど、人を「還流させる」ことでグループ全体で貯蓄から投資の流れを促進する戦略だと説明した。

  国内の大手銀行や地方銀行は、マイナス金利政策の影響など厳しい収益環境の中、従来型の貸出業務ではない手数料(フィー)ビジネスを推進しようとしている。みずほフィナンシャルグループは今週、みずほ証券の坂井辰史社長を次期FG社長に起用する人事を発表、銀行業界で証券ビジネスの位置付けが高まっていることを印象付けた。

  マネックス証券のチーフアナリストでもある名古屋商科大学経済学部の大槻奈那教授は、九州FGの証券参入について「あれほど強力な地銀同士の統合だったので、シナジー効果が物足りなく感じられていたところもあり、市場から次の一手が注目されていた」と述べ、今後も「こうした動きは間違いなく出てくる」と語った。

京都、富山、宮城でも

  大和総研の土屋貴裕主任研究員は、地銀が証券業務に着手する動きは団塊の世代が退職金を受け取り始めた06年くらいから目立ち始め、17年は5件と単年ベースで最多となったと述べた。地銀にとってはリテール顧客の資産形成ニーズのほか、地元企業の事業承継など合併・買収(M&A)助言業務への需要が今後も見込まれるという。

  地銀による証券業務への参入は相次いでいて、2017年は京都銀行のほか富山県のほくほくフィナンシャルグループや宮城県の七十七銀行などが開始した。

  坂井社長は15日の東京証券取引所での記者会見で、みずほFGは「非金利収入の拡大という大きなテーマを掲げている。証券業務の重要性はますます高まっている」とし、「金融業界にとっても、みずほFGにとっても極めて重要な局面にある」との現状認識を示した。

ブランド力

  熊本市内に本社を置く九州FGは、15年に鹿児島銀行肥後銀行が合併して誕生、約250の本支店があり、約4600人の社員がグループ内で働いている。九州FG証券の西本社長は、1億円以上の預り資産を持つ富裕層に照準を当て、株や債券、投資信託など金融商品を提案していく方針。

  西本社長は、富裕層は「既に資産形成をしているが、5割は現預金」だとし、銀行の職員が顧客に同意書を取り付けた上で、セミナーや訪問による営業活動を行うと話した。また、「両行のブランドは強く、銀行の持つ店舗、インフラ、ブランド力」を生かしたいとしている。

  鹿児島銀の創立は明治12年(1879年)。しろくま7人家族の「しろどんファミリー」をオリジナルキャラクターに使用、地域性と親しみを強調している。肥後銀は大正14年(1925年)の設立で、女子駅伝部があり、行員はイメージカラーのブルーのユニフォームを着て全国のレースに出場している。

銀行支援で証券人口拡大

  九州FGは野村HD、大和証Gのほかみずほ証とSMBC日興からも人材を招いており、こうした出向者を通じて商品販売や資産運用コンサルティングなどの知識を吸収する。証券各社にとっては地銀は重要な法人顧客。株式の引き受けやM&A助言などの投資銀行ビジネスのほか、運用や投信販売業務に結び付く可能性がある。

  野村証券の山脇慎自・証券サポート部マネジングディレクターは、「地方銀行を支援し、結果として地域の活性化と証券人口の拡大に貢献したい」と語った。

  大槻教授は、「地銀は圧倒的に大きな顧客網とブランドネーム、信用力を持ち、富裕層やオーナー社長がお金を託してもいいという優位性がある」と述べた。

英語記事:Japan Bank Starts Brokerage, With a Bit of Help From Nomura (1)

(第6段落に歴史的背景と研究者のコメントを追加しました.)
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