父親の企業帝国引き継いだ元ゴールドマン投資バンカー、母国に賭ける

  • ゴールドマンで12年間勤務後にヨマ・ストラテジックに入社
  • 母国ミャンマーでの投資機会に興奮した元上司の姿見て決断

メルビン・パン氏が2012年に上司をミャンマーに連れて行くと約束した際、その時勤めていたゴールドマン・サックス・グループを去ることになるとは思いもしなかった。

  上司は3日間にわたりミャンマーでの投資機会を目の当たりにし興奮していた。それを見たメルビン氏はパン家の事業を手掛けないのはばかげたことだと確信したのだ。ゴールドマンでの日本を除くアジア担当の法人セールス責任者も辞めたくはなかったが、父親のサージ・パン氏率いるコングロマリットに加わることを決めた。

メルビン・パン氏

フォトグラファー:Nicky Loh / Bloomberg

  現在はヨマ・ストラテジック・ホールディングスの最高経営責任者(CEO)を務めるメリビン氏はシンガポールでのインタビューで、「ゴールドマンでの12年間、幸せな投資バンカーだった。でも最後の5年間は何か違っていた。たぶんもっと早く家業を手伝うべきだったのだろう」と述べた。父親から15年に引き継いだコンゴロマリットは、アジアでも発展の遅れているミャンマーで不動産からファストフードチェーンの「KFC」に至るさまざな事業に手を広げるビジネス帝国だ。

サージ・パン氏

フォトグラファー:Nicky Loh / Bloomberg

  ヨマはサージ氏が1983年に始めた事業から生まれた上場企業3社のうちの1社。シンガポール取引所に2006年に上場した。2社目の株式公開会社はファースト・ミャンマー・インベストメント。同社はヤンゴン証券取引所に16年3月に上場。同証取初の上場企業の1社だ。ヨマは今月、ミャンマーの観光事業資産をスピンオフした。

  

The Growth of Consumption in Myanmar

Yoma's non-real estate business, including its consumer enterprise, is growing fast

Source: Bloomberg

  メルビン氏の目標は、ヨマの時価総額を5年以内に少なくとも30億シンガポール・ドル(約2500億円)と3倍にすることだ。消費者と自動車、不動産部門をそれぞれ10億シンガポール・ドル規模に拡大させる。

サージ氏(左)とメルビン氏(右)

フォトグラファー:Nicky Loh / Bloomberg

  海外からの対ミャンマー投資に影を投げ掛けているのが、イスラム系少数民族ロヒンギャを巡る人権危機だ。大量の難民が発生し、世界のリーダーがミャンマー政府の対応を厳しく非難している。メルビン氏は「非常に残念」と述べた上で、「国際的な企業が進出し激しく競い合うことを妨げる可能性のあるネガティブな国際的センチメント」があり、政府は成長促進に一段と懸命に取り組んでいると指摘した。

  39歳のメルビン氏は香港で育ち、英ケンブリッジ大学で工学を学んだ。ゴールドマンに入ったのは2000年。最近は香港とシンガポール、ミャンマーを行き来する生活だ。父親のサージ氏はインタビューで、メルビン氏に家業を引き継ぐように決して迫らなかったし、自分の心臓に問題があり戻りたいなら今が「その時」だとメルビン氏に語った11年も、メルビン氏は「戻ることはないと思う」と答えていたことを明らかにした。

  だがメルビン氏は結局、人生を変える決断をした。その彼が最も興奮を覚えるのが消費者向け事業だ。ヨマは14年にKFCのフランチャイズを取得し、今は21店舗を展開する。ミャンマー2位のウイスキーブランド「ハイ・クラス・ウイスキー」の持ち分30%も保有。拡大する中間所得者層と人口動態の多くを占める若者をターゲットに、さらに飲食店をオープンさせる計画だ。

原題:The Ex-Goldman Banker Who Quit to Take Over a Myanmar Empire (1)(抜粋)

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