河野外相:日本の再エネ導入状況、「嘆かわしい」-政府批判で存在感

  • 気候変動で外務省に有識者会議を設置、「脱原発」が持論-河野外相
  • 首相になった時の政策を「小出しに」-笹川平和財団・渡部氏

河野太郎外相が再生可能エネルギー導入に向けた日本政府の取り組みが国際水準に達していないと問題視し、国際会議で「嘆かわしい」と批判した。現職閣僚として自国方針に苦言を呈する演説は異例で、将来の「ポスト安倍」に名前も挙がる河野氏がエネルギー政策を巡り、存在感を発揮し始めた。

  河野氏は14日、アラブ首長国連邦(UAE)で開催された国際再生可能エネルギー機関(IRENA)総会で、電源に占める再生エネルギーの割合を2030年で22-24%にするとした政府目標について「大変低い数字」と指摘。日本は「短期的なその場しのぎの対応を続けてきた」とし、今後は「新しい思考で再生可能エネルギー外交」を展開し、「長期的視野に立った一貫した対応をとっていく」と宣言した。

  エネルギー政策に関して河野氏は、超党派の議員連盟「原発ゼロの会」に参加するなど「脱原発」の主張で知られていた。外相就任以降は政府のエネルギー政策への表立った異論は控えてきたが、UAEでの演説に先立ち、外務省に「気候変動に関する有識者会合」を設置。9日開いた第1回会合で日本の気候変動外交は「必ずしも評価されているとはいえない」と発言していた。

  笹川平和財団の渡部恒雄上席研究員は、エネルギー政策は経済産業省とのすり合わせが重要であり、外相としては発言に注意が必要な話題だと話す。今回は外国での英語による演説だったため、「ちょっと持論を言ったのではないか」との見方を示した。将来の「ポスト安倍」として名前が挙がっていることもあり、重要閣僚として「総理になった時の政策を小出しにする」という部分もあるとも語った。

  一方、東京に拠点を置くエネルギーコンサルタント、トム・オサリバン氏は、外務省は「最も重要な官僚組織の一つ」で、再生エネルギーの普及に向けて声を上げることは重要だと指摘。河野氏の姿勢は環境問題への取り組みに積極的な発言をしていた米国のケリー前国務長官など他国の外相の事例を踏襲しているとの見方を示した。

再生エネルギーが電源に占める割合

Source: Bloomberg Energy Finance


  経産省は、昨年からエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の見直しに着手しており、夏をめどに決定する方針だ。これに対し、外務省の有識者会合は専門家による議論を経て、2月をめどにエネルギー政策に関する提言をまとめる。

  河野氏は9日の会合で日本の気候変動問題への取り組みについて、理想を語りながら現実が伴っていないことは「庭の盆栽をきれいにしていても、振り向いたらゴミ屋敷であったという状態」と同じであると強い表現で危機感を表明した。

  菅義偉官房長官は15日の記者会見で、再生エネルギー導入のコストが「非常に高い」中で、現在の目標を掲げていると政府方針を説明。国民負担を考慮すると現在の目標を実現することが「何より大事」と強調した。河野氏のUAEでの発言についてはコメントを避けた。

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