犠牲になる中国の地方経済-習国家主席は債務抑制を推進

  • 習主席は債務の抑制主導-地方では路面鉄道や地下鉄建設が停止
  • 成長率にそれほど勢いがない内陸部にとっては痛み大きいと万千氏

中国中部の甘粛省・蘭州新区に、さび付いたパイプや資材が積み上がっている。路面鉄道の整備プロジェクトの残骸だ。わずか1年前に官民パートナーシップ(PPP)の重点プロジェクトともてはやされていたが、一転して習近平国家主席が主導する債務抑制の取り組みの犠牲となった。

  「このプロジェクトはなくなった」と、事務所にいたレという名字だけを明かした守衛は話した。ニューヨーク市の面積に匹敵する蘭州新区は、中国で最も貧しい甘粛省の省都、蘭州市にある。習主席による債務抑制ならびにサービス業・個人消費重視への転換に向けた取り組みをはっきりと示す場所だ。中国経済はおおむね底堅く推移しており、ブルームバーグのエコノミスト調査では2017年の国内総生産(GDP)が6.8%増と、年間ベースで7年ぶりの加速が見込まれている。だが、甘粛省のような開発が遅れた地域にとって話はそれほど単純ではない。

蘭州新区で土砂を降ろすトラック。遠くには高層マンションが立ち並ぶ

写真家:Jeff Kearns / Bloomberg

  中国沿海部の製造業の中心地から遠く離れた甘粛省は、債務拡大に基づく投資の盛り上がりに乗り遅れた。1990年代と2000年代の中国経済の急成長時には、国内で最も大気汚染が深刻だとして評判が悪く、石油プラントや重工業からの化学薬品に加え、砂漠からは砂嵐が襲ってきた。蘭州新区は習氏がトップに就任する直前の12年にようやく承認された。

  習主席は現在、債務の急増が景気の腰折れを招きかねないリスクの抑制を目指している。昨年10月に開かれた5年に一度の共産党大会や、12月の中央経済工作会議ではこうしたリスクを抑え込む目標をあらためて示した。人民元やビットコイン、銀行業や住宅に至るまで潜在的な脅威を封じ込めることが新たな優先事項になった。

  エコノミストらや中国当局は、借り入れ抑制が中国の建設や投資の行き過ぎを阻止し、より持続可能な経済を実現するのに必要な措置だとみている。

  しかし、これには蘭州新区の路面鉄道などのように犠牲を伴う。近隣の内モンゴル自治区では包頭市や省都・フフホト市で建設中だった地下鉄事業が昨年停止された。国営新華社通信は今月、こうしたプロジェクトが止まったのは地方政府が「過度に負債を抱えた」ためだと報じた

  中国の地方経済を分析するブルームバーグの万千エコノミスト(北京在勤)は「金融規制の強化や与信の引き締めに伴い、地方政府によるインフラや工業団地の開発向け、債務の返済目的の借り入れがますます難しくなるだろう」と分析。「レバレッジ削減は常に痛みを伴うが、成長率にそれほど勢いがない内陸部の省にとってはより痛みが大きくなる」と述べた。

原題:China GDP Powers Past Debt Purge, Leaving Trail of Dead Projects(抜粋)

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