【インサイト】日本の海運3社、コスト低減・利益拡大へ-合弁始動で

日本のコンテナ船輸送合弁会社であるオーシャンネットワークエクスプレス(ONE)の営業開始で、出資企業3社のコスト低減が見込まれる。急速に統合が進む海運業界で競争力が増し、2019年3月期には利益が拡大するだろう。 価格決定力は依然弱い。

・日本のコンテナ船輸送事業者の競争力が向上-合弁による規模拡大で

  日本郵船と商船三井、川崎汽船のコンテナ船輸送事業の統合で生まれた合弁会社は業界6位と、統合が進む海運業界で競争し得る規模となった。日本の海運大手の合弁会社設立は長い間予想されていたが、16年の韓進海運の破綻、深刻な市場低迷、それに続く海運会社の合併に促される形でようやく実現した。 海運業界の情報会社アルファライナーによれば、合弁会社ONEの積載能力は約147万TEU(20フィートコンテナ換算)、市場シェアは7%となる。

コンテナ船輸送業界の競争環境

  ONEはまた、ハパックロイド、陽明海運と共に、より大きな「ザ・アライアンス」の中核メンバーである。

・積載容量の管理力が向上-価格決定力は依然弱い

  コンテナ船事業の統合で積載容量の管理力が高まるだろう。しかし、価格決定力の大幅な向上は見込みにくい。シンガポールを運営拠点とし年度始まりの4月1日に営業を開始する予定の同合弁会社は、日本郵船(出資比率38%)、商船三井、川崎汽船(それぞれ同31%)のコスト削減に寄与すると考えられる。ただし厳しい競争環境にあって、コンテナ船事業者は市場価格を受け入れざるを得ない状況にある。

ONEのコンテナ合弁事業

・19年3月期は500億円余りのコスト削減が見込まれる

  事業統合により、3社の19年3月期の費用は500億円余り削減される見通しだ。今後3年間で1100億円のコスト削減が見込まれ、利益も増加するだろう。スケールメリット、調達および管理部門の統合による効率化やサービス向上によるコスト削減が見込まれる。

18年度上期のコンテナ船事業の収益性は依然低い

・18年もコンテナ船輸送の回復基調が続く

  世界景気の拡大により、18年もコンテナ貿易は増加する見通しだ。15ー16年の貿易不況は過去の話となった。経済危機シナリオも実現の可能性が遠のき、コンテナ輸送量は引き続き増加が見込まれる。コンテナ貿易額の対国内総生産(GDP)比は17年の成長軌道に戻り、貿易額は世界GDP成長率の倍のペースで増加する見通しだ。これは14年以来の増加率である。世界のコンテナ取扱量を指数化したRWI/ISLコンテナ・スループット・インデックス(CTI)は、今後もこの勢いが続くことを示唆している。

17年、コンテナ船輸送は大幅に回復した

  海運会社が収益性を高めるには、拡大した積載容量を埋めるだけの貿易量増加が必要となる。マースクラインやコスコシッピング(中国遠洋)、川崎汽船、商船三井、日本郵船、長栄海運、ハパックロイド、東方海外など、世界貿易において大きなシェアを握る海上コンテナ輸送大手が、貿易量の急速な回復から引き続き恩恵を受けるだろう。

・コンテナ貨物料金が大幅に上昇

  コンテナ船の運賃は、供給過多な状態から引き続き大幅な上昇は見込みにくいものの、旺盛なコンテナ需要を背景に18年も上昇が見込まれる。17年には、5年間下落し続けた運賃が上昇に転じ、この数年マイナスで推移していた業界各社の利益も黒字化する見通しだ。供給過剰感からスポット価格のボラティリティーは高まる可能性が高い。しかし需要が増大する中で積載容量を安定確保しようとする顧客の動きから、契約運賃は小幅な上昇が見込まれる。

平均運賃の推移と予想(変化率)

  関連企業 :17年は運賃が15-16%上昇。海事調査機関Drewryは18年の東西航路の平均運賃について、1桁台後半の上昇率を見込んでいる。アジアー北米間ならびにアジアー欧州間の長距離輸送の比率が高い海運会社が、この上昇から最も恩恵を受けるだろう。

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