米国債は弱気相場に入ったのか-利回り急上昇後の戻しで浮上する疑問

  • 米10年債入札の応札倍率は16年以来の高さ-安心感で相場回復
  • 弱気相場入り宣言したグロース氏も「破局」に向かっていると思わず

債券トレーダーは大いに気になった。これが本当に弱気相場というものなのかと。

  10日の米金融市場で10年物の米国債利回りは一時2.595%と、2014年以来の高水準に近づき、昨年の最高だった2.63%を抜ける一段の値下がりも視野に入った。世界の主要中央銀行が刺激策を解除しつつある中、この日は外貨準備を見直す中国政府当局者らが米国債の購入を減らすか停止することを勧告したと伝えられた。

  だが、値下がりは続かなかった。10年債は同日の取引を前日比ほぼ変わらずで終了。200億ドル(約2兆2300億円)相当の入札での応札倍率は16年以来の高さとなった。適切な価格なら買い手は依然として現れるという確実なシグナルをトレーダーに与えた格好だ。

  今週に入って債券の弱気相場入りを宣言したジャナス・ヘンダーソン・グループの運用者ビル・グロース氏でさえ、一段の相場下落に懐疑的な見方を示した。同氏は10日、劇的な値下がりは見込んでいないとして、10年債利回りは年末までにあと15-25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇するのみだろうと予想。ブルームバーグラジオとのインタビューで「私が話している弱気相場は緩やかなものだ」とし、「投資の破局に向かっているとは思わない」と述べた。

ジャナス・ヘンダーソン・グループの運用者ビル・グロース氏

(出所:Bloomberg)

  突発的に債券利回りが上下するのは歴史が何度も証明している。米国債相場をどちらか一方向に本当に揺り動かすのは、米財政・金融政策の基本的見通しが劇的に変化するか、リスク資産に大混乱が起きる場合だ。この点で、米国債市場の根幹は揺らいでいないと、BMOキャピタル・マーケッツの金利ストラテジスト、アーロン・コーリ氏は指摘する。

  ナットウェスト・マーケッツのジョン・ブリッグス氏も直近の利回り急上昇について、昨年末にかけて利回り曲線フラット化を見込む取引に席巻された市場が不意を突かれただけとみる。長短金利スプレッドが10年ぶりの小ささの市場は「調整を受けやすい」と、同氏は述べた。

  BMOのコーリ氏も投機を行うヘッジファンドなどの投資家がフラット化取引になだれこんでいたため、一斉に影響を受ける「バンドワゴン効果」があったと指摘。一方で、「1年前からフラット化を見込むポジションを構築していたなら、取引が相当うまくいっていたわけで、利益を幾分確定しようかということになる」と付け加えた。

  BMOは米10年債利回りが2.6%に到達すれば買いだとしている。シティグループは10日、30年債の売りはもはや勧めないとリポートでコメント。パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のグループ最高投資責任者(CIO)、ダン・アイバシン氏は、米国債相場が一段と下げたところでの買いを検討していると、ロイター通信の記者がツイッターに投稿した。

原題:Bond Traders Question Bear Market as Yields Pull Back From Brink(抜粋)

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