円買いの口実与えた日銀オペ減額、金融政策正常化への教訓との声

  • ドル・円は113円台から112円台前半まで円高進行
  • 火消しが行われない場合には、正常化期待で円高圧力-みずほ証

9日の日本銀行による超長期国債買い入れ減額は思わぬ円高進行を招いた。タイミングの意外感に加え、円売りポジションが高水準で積み上がっていたことが円買いのきっかけを与えた形だ。今後、日銀にとっては政策正常化に向けて教訓になるとの声が出ている。

  日銀オペ通知直後にドル・円相場は1ドル=113円台から112円半ばへ60銭超下落した。10日もこの流れが継続し、一時112円17銭と1週間ぶり円高値を付けている。日銀が先月末に長期国債等買い入れ方針の据え置きを発表後、初の超長期ゾーンのオペだったこともあり、減額でテーパリング(量的緩和縮小)への思惑が広がった。シティグループ証券の高島修チーフFXストラテジストは「日銀の政策調整への思惑にけん引された円高だ」と指摘した。

  また、需給面でのタイミングの悪さを指摘する見方もある。シカゴマーカンタイル取引所(CME)国際通貨市場(IMM)によると、週間ベースの円先物ポジションは足元で12万枚超の売り越し。昨年11月に記録した4年ぶり売り越し規模の約13万6000枚からやや戻しているものの、円売りポジションは高水準にとどまっている。

  SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジストは、「円安投機に水を差すには十分の材料であった可能性は高い。ただでさえドル・円が『節目』の115 円になかなか届かず、円ショートの市場参加者においてフラストレーションがたまっていたところ、いったん円売りをギブアップする参加者が増えても不思議ではない」と指摘する。

  一方、国債市場でもオペ減額通知後に超長期債利回りが上昇。その流れは米国市場にも波及し、米10年物利回りは2.50%台に乗せ、17年3月以来の水準にまで上昇した。外為どっとコム総研の神田卓也取締役調査部長は「米長期金利は本来ならドル高要因だが、その原因が日銀にあるということでドル高以上に円高が進むという構図になってしまった」と説明した。

  みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストは、「今回の教訓は、ドル・円が明確な円安基調に入っていない中で、十分な事前のコミュニケーションなしに正常化を行えば、予期せぬ円高をもたらすということだ」と説明。「今後日銀は、今回のオペ通知が正常化に向けた動きではない旨、火消しを行う可能性が高い。逆に、火消しが行われない場合には、正常化期待を通じた円高圧力をさらに強めるだろう」とみる。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE