ミレニアル世代の声を聴け-年会費5万円の人気カード誕生への道のり

  • 「サファイア・リザーブ」誕生の立役者、コディスポイ氏が語る
  • より人間味にあふれ、一段とインタラクティブな経験を提供していく
Sam Kerr for Bloomberg Businessweek
Sam Kerr for Bloomberg Businessweek

ミレニアル世代がクレジットカードを持ちたいとは誰も考えていなかった2014年当時、米銀JPモルガン・チェースの「チェース」ブランドカード部門を率いていたパム・コディスポティ氏は悩んでいた。どうすれば金銭面で余裕のあるミレニアル世代向けのクレジットカードを開発できるのかと。

  そして得た結論は、これまでと同じカードでは駄目だということだった。「当時市場に出回っていたカードとは違うものが求められていた。父親世代が持つクレジットカードには興味がない世代だ」と同氏は述べる。

  コディスポイ氏(52)とそのチームは、ミレニアル世代がいわゆるプレミアムカードに何を望んでいるかを見いだすため、全米で聞き取り調査を実施。その結果生まれたカードが「サファイア・リザーブ」だ。ミレニアル世代の関心が高い外食・旅行分野で柔軟性が高くお得なプログラムを提供している。

  年会費450ドル(約5万円)のサファイア・リザーブは、入会すれば10万ポイントが特典として付き、このポイントはホテルや旅行会社、レストランなどで幅広く使える。利用するとポイントが加算され、年300ドルのトラベルクレジットも付与されることから、狙った顧客層の間ですぐに人気が広がった。このカードにあやかろうと、アメリカン・エキスプレス(アメックス)やシティグループなどが特典プログラムの改良を急いだほどだ。

  コディスポイ氏はJPモルガンに入行する前、アメックスで18年の経験を積んだ。同氏によれば、利用者を呼び込む十分な入会特典だったが、本当のチャレンジはそうした入会者をずっと会員としてとどめることだ。

  JPモルガンはサファイア・リザーブをライフスタイルそのものとするため、モデルのクリッシー・テイゲンさんらセレブと協力している。フォーマルなマーケティング活動から入るのではなく、まず「口コミ」に頼る手法を選好している。巨額のマーケティング費用を投じるクレジットカード界の巨人にとって、大胆な戦略だ。

  JPモルガンが展開する5200支店の監督責任者に昨年昇進したコディスポイ氏が思い描くのは、老後資金の貯蓄や住宅の初購入などで顧客が相談できる助言センターの導入だ。ビジョンとしては、アップル製品の購入者が「アップルストア」で直接アドバイスを得ることができる「ジーニアスバー」に似ている。ミレニアル世代が重視しているのはこうした対話だと言う同氏は、「顧客が得られる経験をより人間味あふれるものとし、一段とインタラクティブにしていく」と話している。

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載)

原題:The Mastermind Behind Chase’s Industry-Changing Sapphire Reserve Card Sets Her Sights on Banking(抜粋)

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