MiFID2負け組、アナリストやヘッジファンド-リサーチ明暗

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  • 大手資産運用会社はリサーチ料金の価格交渉でより優位に立てる
  • 3位ないし4位までにランクインしないアナリストは解雇される恐れ

欧州連合(EU)の金融・資本市場の包括的な規制、第2次金融商品市場指令(MiFID2)の影響は、道路の反対車線を走らなければならないと突然言い渡されたドライバーに例えられる。年明け3日の施行に間に合うよう金融業界は対応に追われたが、リサーチ料金と取引手数料の分離、新たな報告要件、私設取引システム(ダークプール)の制限など、MiFID2の影響は業界の深部にまで及ぶ。誰が得をし、誰が損をすると考えられるか初期の予測を試みた。

MiFID2とは-QuickTake

勝ち組

  • 年金基金とファミリーオフィス:投資家は手数料の取り決めに当たり、資産運用会社から代価に見合う価値が得られるかどうかよりはっきりと把握できるようになるだろう。リサーチ料の請求がブローカーに義務付けられるが、アナリストリポート料金の自前での負担を選ぶ資産運用会社の数が増えており、顧客にとってコスト引き下げにつながる可能性がある
  • ヘッジファンドの業務支援プラットフォーム: ミラベラ・アドバイザーズやブルックランズ・ファンド・マネジメントなどのプラットフォーム運営会社は、記録管理からバックオフィス業務、コンプライアンス(法令順守)監視、管理業務に至るあらゆる支援をヘッジファンド運営会社に提供。MiFID2の施行に伴うコストの負担を共有化したい一部のヘッジファンドが、これらのプラットフォームに相乗りする形となっている
  • 大手資産運用会社:ブラックロックやバンガード・グループなど支払い余力のある資産運用会社は、銀行や証券会社に対し、リサーチ料金の価格交渉でより優位に立てる
  • 上場投資信託(ETF):MiFID2で投資家は手数料に注目せざる得なくなり、ETFなどコストの安いパッシブ運用商品により多くの資金が流れるだろう
  • 大手投資銀行:資産運用会社がリサーチ関連支出を15億ドル(約1690億円)程度削ると予想される状況で、バランスシートがより大きい巨大投資銀は、価格競争や人材獲得で張り合えるだけでなく、企業との関係構築も可能だ
  • システマティック・インターナライザー(SI):顧客注文を自己勘定と組織的かつ頻繁にマッチングさせるSIのトレーディングプラットフォームを運営する銀行やハイフリークエンシートレーディング(HFT、高頻度取引)業者は、ビジネスの呼び込みが期待できる。SIとして登録すれば、ダークプール取引の制限を回避できるほか、ファンドマネジャーの取引報告作業の軽減にも役立つ。さらに取引所と比べてより柔軟な価格設定を提供できる場合もある。JPモルガン・チェースとゴールドマン・サックス・グループもSIの登録を目指している
  • リサーチ専門スタートアップ:捨てる神あれば、拾う神あり。2018年に職を失うアナリストらにも、それはいえるかもしれない。アナリストの中には銀行から独立し、小規模なリサーチ専門会社を設立する動きもある

負け組

  • 規模の小さい資産運用会社やトレーディング会社:予算が厳しいこれらの会社は購入するリサーチを制限するか、コストを顧客に転嫁する必要に迫られかねない。後者の場合はビジネスを失うリスクもある
  • ヘッジファンド:ヘッジファンドは株式トレーディングで1分以内、債券取引では15分以内の報告が義務付けられ、さまざまな資産クラスで大量の取引を行うファンドが影響を受ける
  • リサーチアナリスト:担当セクターで3位ないし4位までにランクインしていないアナリストは、トレーディングフロアから解雇される恐れがある。マッキンゼーは金融機関がリサーチ分野で12億ドル程度支出を減らすと予想している
  • 中小規模企業:規模が比較的小さな企業は、リサーチアナリストによって従来ほどカバーされなくなり、株主ベースが縮小することも考えられる。その場合、投資家は株式価値を決めるのが難しくなり、流動性がさらに低下することになりかねない。ロンドンに拠点を置き、英国の小型株に投資するトスカファンド・アセット・マネジメントは、約30社の中小企業に宛てた書簡で、自社株に関するリサーチの料金を自ら負担するよう強く求めた


原題:Who Wins, Who Loses From MiFID II Shakeup?: QuickTake Scorecard(抜粋)

(勝ち組にリサーチスタートアップ、負け組に中・小型株を追加して更新します.)
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