大企業の巨額評価損計上が続出-米税制改革で経理はてんてこ舞い

  • 繰り延べ税金資産・負債の評価見直しが必要に
  • ダウ平均の10銘柄が一時費用計上か-ブルームバーグ分析

A copy of the 'Tax Cuts and Jobs Act,' a 1,097-page Republican tax bill, including 503 pages of legislative text, is arranged for a photograph in Tiskilwa, Illinois, U.S.

Photographer: Daniel Acker/Bloomberg

トランプ米大統領の署名で税制改革法が成立して企業は喜んでいるものの、各社が最初に被る影響は決算の見直しになりそうだ。

  世界の大企業の一部は同法成立の数時間後に早くも巨額の一時費用計上を発表し始めた。税制改革に伴う法人税率引き下げは大多数の企業に利益をもたらすものの、繰り延べ税金資産・負債の評価見直しも必要になる。

  バイオ医薬品のアムジェンは60億-65億ドル(約6800億-約7360億円)の評価損を計上すると発表。バンク・オブ・アメリカ(BofA)は30億ドル、クレディ・スイス・グループは23億スイス・フラン(約2640億円)の評価損計上を発表した。  

  専門家によれば、投資家の繰り延べ税金資産・負債の評価見直しのルールをおおむね知っているものの、実際に評価損計上や決算が発表された時に株式市場にある程度の混乱が生じるかもしれない。このルールが実際に影響するのは法人税が大幅に引き下げられた場合に限られ、前回は30年前なので記憶が薄れている可能性も指摘される。

  税務情報を提供する非営利団体タックス・アナリスツの主任エコノミスト、マーティ・サリバン氏は「投資家は混乱するかもしれないが、賢明な人たちは『心配無用だ。これは一時的なものにすぎない』と言うだろう」と述べた。

  最も大幅な評価額変更を迫られそうなセクターの一つが銀行業界だ。銀行は2008年の金融危機の最中とその後に大きな損失を被った。シティグループの経営幹部は同法成立前の今月6日の投資家会議の時点で、繰り延べ税金資産の評価額引き下げなどで10-12月(第4四半期)に約200億ドルの評価損を計上する見込みだと説明していた。

  クレジットカード会社アメリカン・エキスプレス(アメックス)は正味23億ドルの繰り延べ税金資産を有している。シュノールト最高経営責任者(CEO)は今月、同社は一時的に打撃を受けるものの、長期的な恩恵は非常に大きいだろうと述べた。

  一方、繰り延べ税金負債を有する会社は逆に再評価で利益が発生する。ブルームバーグの分析によれば、例えば航空機メーカーのボーイングは10億ドルの純負債があり、約4億ドルの一時利益が見込まれる。ボーイングはこの試算についてコメントを控えた。同社は22日午後時点で、修正や利益の見通しを発表していない。

  実際、米大手企業の多くが利益を得る見通しだ。ダウ工業株30種平均構成銘柄のブルームバーグ分析では、10-12月期に3分の2が一時利益、3分の1が一時費用を計上する可能性が高い。

  ただし、各社はどの税金資産・負債が米国外のもので、どれが米国内のものかを公表していないため、正式発表まで正確な利益・損失の額は分からない。企業幹部らは電話会議で評価損計上を示唆している。

  今後影響が見込まれるもう一つの要素は税制改革法に盛り込まれた企業の海外滞留利益への課税だ。現金には15.5%、現金以外には8%課税する。

  JPモルガン・チェースは繰り延べ税金負債の評価額見直しで利益を得るものの、海外利益を米国に還流させる際に一時損失が発生する見通し。レーク最高財務責任者(CFO)によれば、損失額は最大20億ドルに上る可能性がある。

  各社は税制改革法が成立した四半期に見直しを計上しなければならないため、経理部門は土壇場の修正を迫られることになった。タックス・アナリスツのサリバン氏は「中国行きの飛行機に乗るため、あと5分で空港に行かなければならないのに、まだ荷造りができていないという状況に似ている」と指摘した。

原題:Billion-Dollar Writedowns Pile Up as Companies Analyze Tax Bill(抜粋)

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