安倍首相は「憲法をおもちゃにしている」-立民・枝野代表が改憲批判

  • 長距離巡航ミサイルは専守防衛逸脱する可能性懸念-国会のテーマに
  • 希望との統一会派は「アイデンティティーを失う」と拒否感示す

立憲民主党の枝野幸男代表は、安倍晋三首相が意欲を示している憲法改正について「変えること自体が自己目的化している」と指摘し、「憲法をおもちゃにしている。まじめに憲法を考えていない」と批判した。

  枝野氏は25日、ブルームバーグの取材で、集団的自衛権行使を容認した安全保障関連法は「憲法違反」とした上で、安倍首相が掲げる9条への自衛隊明記などの改憲案について「今の憲法を守ってから、変える論議が初めてできる」と強調。安保法の「違憲部分を撤回しない限り9条を変えることはあり得ない」と語った。

枝野代表

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  自民党の憲法改正推進本部は20日、自衛隊の明記や緊急事態条項の創設などを目指す4項目について論点整理を示した。9条については首相が提唱した1、2項を維持して自衛隊を明記する案と、戦力不保持などを定めた2項を削除し自衛隊の目的・性格をより明確化する案を両論併記した。

  枝野氏は4項目について「どれも賛成できる余地はない」と言う。非常時に国会議員の任期延長を可能にする案に加え、政府への権限集中や私権制限を含めた緊急事態条項案が示されたことに対しても、「ヒトラーの全権委任法のようなものでなければ今の憲法で十分だ」とし、現行憲法で適切に対応可能との考えを示した。

  枝野氏は北朝鮮の核・ミサイル開発の進展を受けて政府が導入を検討している長距離巡航ミサイルについても触れ、専守防衛を逸脱する可能性があると懸念する。政府が22日閣議決定した来年度予算案で関連費用を計上したにもかかわらず、10月の衆院選で争点化しなかったことは「政治的に不誠実だ」と指摘。来年の通常国会の「大きなテーマ」として政府を追及する構えを見せた。

  防衛省は3種類の長距離巡航ミサイルの取得を目指している。射程は最大で約900キロで技術的には北朝鮮にも到達可能だが、小野寺五典防衛相は5日の記者会見で「敵基地攻撃を目的としたものではない」と説明した。こうした発言について枝野氏は「常識では考えられない」と述べ、敵基地攻撃能力を導入しようとしているなら「堂々と国民に問うべきだ」と語った。

野党連携

  立憲民主は報道各社の世論調査で野党トップの支持率を維持している。枝野氏は野党第1党として政権交代を目指す上で必要なのは「党が大きくなっていくこと」だとするが、「政界再編で政権を取ろうとは全く思っていない」と述べ、古巣である民進党系の再結集には慎重な姿勢を崩していない。
  
  特に、立憲は先の衆院選で政策理念の違いから「希望の党に入れないので旗を立てた」経緯がある。枝野氏は、希望と統一会派を組むことは「アイデンティティーを失う」と明言。現在、党の再生に向け改革案を協議している民進から統一会派の申し出があった場合でも、「希望の党には呼び掛けないという前提でなければ話のしようがない」と3党連携は拒否する姿勢を示した。

  希望の玉木雄一郎代表は23日の記者会見で、巨大与党と対峙(たいじ)する上で「野党がバラバラではまともな国会論議はできない」と野党連携に意欲を見せた。これに対し、枝野氏は「主張の違う党がそれぞれの主張をしっかり訴えていくのが国会のあるべき姿」と述べるとともに、「単に野党が数がまとまれば力を発揮できるなら、民進党はもっと力を発揮していたはずだ」と自戒を込めて語った。

日銀

  アベノミクスの第一の矢を担う日本銀行の金融政策については「結局インフレ目標も達成できない、出口も見えない」現状だとして、来年4月に任期満了を迎える黒田東彦総裁が「けじめをつけないと前に進まない」と述べ、続投すべきではないとの考えを示した。  

  枝野氏は異次元緩和から始まった現行の枠組みは「そもそも方向性が間違っていた」としたものの、急に金融引き締めにかじを切るのは不可能であり「方針転換するためには、3年とか5年という時間が必要ではないか」と語った。

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