【コラム】利回り曲線のフラット化、過大な懸念は無用-エラリアン

  • イールドカーブの形状が従来ほど意味を持たない可能性も
  • 今後数カ月にイールドカーブはスティープ化に向かうと予想

イールドカーブのフラット化、つまり長期国債と短期国債の利回りの格差縮小が過去数週間で高い関心を集めるようになった。それには正当な理由がある。

  歴史的に、イールドカーブのフラット化は先行きの景気軟化を示唆する傾向があった。将来の景気後退(リセッション)を示す指標として信頼ある実績を残している逆イールドにも発展する可能性がある。

  短期債利回りが今年に入り大幅に上昇したのは驚きではない。結局のところ、米連邦公開市場委員会(FOMC)は今年3回利上げし、来年も同様のペースの利上げを示唆しているのだから。

  もっと驚きなのは、長期債利回りが年間を通じて相対的にレンジ内の動きにとどまったことだ。米10年債、30年債とも現在の水準は年初からさほど変化していない。

  イールドカーブの急激なフラット化で、米経済の成長減速と米金融当局の政策が結果的に失策に終わるリスクに懸念が高まったのは無理もない。歴史的なモデルを鑑みれば、それが示唆されるからだ。「今回は違う」などと言うのはおこがましいが、警鐘を鳴らすにはまだ早い可能がある。具体的に、イールドカーブの形状が従来ほど意味を持たないかもしれないと考える理由を以下に挙げてみる。

  • 従来フラット化が示唆してきた景気弱含みの兆しを株式や債券、コモディティーなど他の市場で見いだすのは難しく、経済指標もそれを示唆していない
  • 20日に可決された税制改革案が米経済の短期的な成長にはポジティブで、少なくとも損なうことはないとの見方に異論は少ないだろう。議会はさらに向こう数カ月でインフラ法案を検討する可能性があり、よい内容であれば潜在成長と実際の成長をいずれも押し上げるはずだ
  • FOMCは極めてデータへの依存が強く、予想外に弱い経済指標が今後現れれば、フォワードガイダンスを速やかにハト派寄りに修正する公算が大きい
  • 世界同時好況が米経済の拡大を後押ししている
  • 日本銀行と欧州中央銀行(ECB)などで大規模な資産購入(QE)が続いており、米国債利回りに間接的な押し下げ効果を及ぼしている
  • 債務と同じような特性を持つ長期債の資産への組み入れを図る負債対応投資(LDI)による資金流入が盛ん

  これら全てが現在のイールドカーブが示唆する情報を過去ほど重要でないものにしている可能性がある。さらに、今年のフラット化を後押しした中央銀行のQEは縮小の方向で、LDIの活動は下火になりつつある。外国人投資家が利用する為替ヘッジ付きの米国債利回りは一部でマイナスにまで低下、米国債の供給は増加する見通しだ。

  このような理由で、今後数カ月ではイールドカーブがスティープ化に向かうと考えるべきだ。実際に直近ではフラット化の動きは止まり、ややスティープ化している。この動きが今後数カ月で強まらない場合にのみ、国債市場が景気減速の不安なシグナルを本当に発していると懸念するべきだろう。

原題:Don’t Fret So Much About Flat Yield Curve: Mohamed A. El-Erian(抜粋)

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