ドル・円が1週間ぶり高値、米金利上昇一服も日銀緩和姿勢で安心感

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  • 黒田総裁発言受け午後に前日のNY高値上回り、113円62銭まで上昇
  • 黒田総裁は長短金利操作の変更の必要性を改めて否定

東京外国為替市場ではドル・円相場が約1週間ぶり高値を付けた。前日の海外市場でドル高・円安が進む背景となった米長期金利の上昇は一服したものの、日本銀行の金融緩和継続姿勢が円売り安心感につながった。

  21日午後5時5分現在のドル・円は前日比0.2%高の1ドル=113円61銭。朝方に113円20銭まで売りが先行した後は底堅い展開となり、日銀が金融政策の現状維持を発表した後は113円45銭まで強含んだ。午後にかけて同水準付近でもみ合う展開が続いたが、黒田東彦総裁が会見で長短金利操作の変更の必要性を否定するとじりじりと値を切り上げ、一時113円62銭と12日以来の高値を付けた。

  ソニーフィナンシャルホールディングスの石川久美子為替アナリストは、ドル・円の上昇について、「黒田総裁がイールドカーブコントロールは適切な効果を発揮して、今の時点で変える必要ないと発言したことに若干反応した」と説明。ただ、「もともと期待が大きかった訳ではないので、値幅も大きくはない」と話した。

  黒田総裁は午後の会見で、金融緩和政策修正への布石との憶測を呼んだ「リバーサル・レート」発言について、金利操作の見直しとの意味ではないとし、「景気が良いからそろそろ金利を上げるという考えはない」と述べた。日銀は同日の金融政策決定会合で緩和政策の現状維持を決めた。前回に続き片岡剛士審議委員が長短金利操作の現状維持に反対した。

  米10年債利回りは時間外取引で1ベーシスポイント(bp)低下の2.49%。前日には2.5%と9カ月ぶりの水準まで上昇した。米国株は小幅安。21日の東京株式市場ではTOPIXが小幅続伸した一方、日経平均株価は小幅安となった。  

  上田ハーローの中村勉ストラテジストはリポートで、「米長期金利の上昇がドル・円の下値を支えており、米税制改革法案が無事上下院を通過した安堵(あんど)感もドルが買い支えられる一因」と指摘。FXプライムbyGMOの柳沢浩チーフアナリストは、年末で株価は利益確定売りに押されても大崩れは見込まれず、「米債利回りの上昇が止まらなければ、ドル・円はもみ合いながら少しずつ上昇を続けることになりそう」と話した。

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  ユーロ・円相場は午後に1ユーロ=134円87銭まで円売りが進み、前日の海外市場で付けた2015年10月以来のユーロ高値を更新した。一方、ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.18ドル台後半でやや弱含み。独長期金利の一段の上昇を背景に1.1902ドルと今月1日以来の水準まで上昇した前日の海外市場の流れが一服した。

  スペインではこの日、カタルーニャ自治州の議会選挙が行われる。選挙前最後の世論調査によると、独立を支持する3党が合計でわずかながら過半数を確保する見通しだが、連立政権の発足には程遠い情勢となっている。

  みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストはリポートで、独立派が過半数を維持する場合には中央政府との緊張の高まりに加え、ユーロ圏内の他地域の独立運動への広がりが懸念され、ユーロ下押し材料になると指摘。ただし、独立派3党の関係は良好ではなく、連立政権樹立が困難とみられ、「ユーロ安圧力とはなっても限定的だろう」と予想した。

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