MiFID2土壇場準備でクリスマス返上か-システム障害も懸念

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  • 技術システムの障害発生を金融機関は懸念していると関係者
  • 間に合わない取引当事者のために6カ月の猶予期間が提案された

コンピューターのシステム障害や、市場からの締め出し、タイプミスのリスク増大といったケースが、欧州連合(EU)の金融・資本市場の包括的な規制、第2次金融商品市場指令(MiFID2)の来年1月施行に伴う最悪のシナリオとして想定される。

  銀行・証券会社と資産運用会社は、透明性改善で金融危機の再発防止を目指すMiFID2に備えて何年も準備を重ねてきた。しかし、施行まで2週間を切った今なお準備が整わない一部の金融機関では、時間と競争する技術者やコンプライアンス(法令順守)担当者が、クリスマス返上で作業を継続することになりそうだ。

  金融機関のMiFID2技術プロジェクトを支援するエクセリアン・ルクソフト・フィナンシャル・サービシズのパートナー、マーク・メイナード氏は「これらのシステムの多くが来年1月3日に文字通り稼働する」と説明。一部の金融機関は障害にぶつかっており、「どこも遅れていると伝えるMiFID2を巡る最新ニュースは後を絶たない」と指摘した。

  MiFID2の施行時間は公式に設定されていないが、欧州証券市場監督機構(ESMA)の広報担当者によれば、規制の対象となる取引プラットフォームや投資会社は営業日の開始と同時に切り替える見通しだ。

MiFID2とは-QuickTake

  非公開情報であることを理由にMiFID2の準備に直接関与するバンカーの1人が匿名を条件に語ったところでは、システムが正常に稼働するかどうか確実には分からないことが、銀行・証券会社にとって大きな不安であり、技術的な障害につながることもあり得るという。

  ESMAは20日、識別番号である「リーガル・エンティティー・アイデンティファイアー(取引主体識別子、LEI)」の取得が間に合わない取引当事者のために6カ月間の移行期間を設けることを提案した。

  LEIの取得が間に合わず市場から締め出されるリスクのある取引主体がどの程度の数に上るかは今もはっきりしない。 HSBCホールディングスのマーケッツ部門で欧州・中東・アフリカ担当の最高執行責任者(COO)を務めるクリス・ディケンズ氏は、ESMAの発表前の段階で、顧客の20%がLEIを取得できていないようだと述べていた。

  非公開情報であることを理由に関係者の1人が匿名で語ったところでは、MiFID2施行後数週間にわたり、内部システムの完成を待つ間、トレーディングデータの約10%を手動入力することを予定するセルサイドの会社も存在する。コンプライアンス・ソリューションズ・ストラテジーズのローナン・ブレナン氏は、タイプミスの危険を理由に挙げ、「リスクの高い戦略だ」と話している。

原題::Worst MiFID Scenario? Tech Glitches, Fat Fingers and Lock Outs(抜粋)

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