ブラックロック:18年は日本株優位、収益体質が良化-PER割安感も

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  • ROEは10%に近づく可能性、輸出一本足の10年前とは変化
  • 政府が「デフレ脱却宣言」なら海外勢に強いメッセージ-福島CIO

Pedestrians pass in front of BlackRock Inc. headquarters in New York, U.S.

Photographer: Victor J. Blue/Bloomberg

世界最大の資産運用会社であるブラックロックは日本株に対する強気を維持し、2018年はグローバル比較で優位性があると予想した。世界景気の回復や国内のデフレ脱却期待などマクロ環境の良さに加え、ミクロでも企業収益の体質強化が着実に進んでいるとみるためだ。

  ブラックロック・ジャパンの福島毅最高投資責任者(CIO)は18日のインタビューで、同社では債券より株式に魅力があると考え、地域別では新興国・地域、アジア(日本除く)、日本、欧州株の見通しを「オーバーウエート」としていると説明。「単にマクロが良いだけではなく、構造改革などがあり、それぞれのストーリーがある」こうした地域の中で、まだ改善過程にある新興国が最も魅力度が高いが、「その次が日本」との認識を示した。

  世界的株価指数MSCIの17年の地域別パフォーマンスは、21日時点で米国がプラス20%、日本がプラス18%、欧州がプラス7.1%高。一方、ブルームバーグ・データによると、株価収益率(PER、予想ベース)は米国20.3倍、欧州16.1倍に対し、日本は15.2倍と3地域の中で最も割安な水準となっている。

  ブラックロックは世界経済がピークを打つにはまだ2年かかるとみて、世界景気敏感株の日本は恩恵を受けやすいと予測。さらに、日本は潜在成長率を上回る成長が続き、「労働人口が減っていく環境下で、逆に労働人口を増やしている。一人一人の賃金はさほど上がっていないが、2%を超えて名目雇用者報酬が上がっているため、経済全体のパイとしては良い」と福島氏は述べた。

  同氏は、ことしの日本株は上昇したものの、PER水準が年初からあまり変わっていない点に言及。「なぜ日本だけ『リバリュー』しなかったのか。これだけ業績をしっかり出すということをマーケットが意識していなかった」と分析する。今年度業績の良さはマーケットに織り込まれている半面、「来年度5ー10%増益の前提を置けば、来年はそのくらいのリターンはあり得る。バリュエーションが安く、それにプラスしてリバリュエーションがあるかもしれない」と言う。

  特に注目するのは日本企業の収益体質の強化だ。株主資本利益率(ROE)が改善、「9%に乗ってきており、中でもマージンが改善している。今まではマージンを犠牲にしても量を追っかけてきた。良い意味でのサプライズだ」と福島氏は指摘。小泉政権下の10年ほど前、良好な海外景気を背景にROEが輸出セクターを中心に9%台へ高まったケースはあったが、「今回は内需も外需も良く、来期は1997年以来で最高の10%に近づく可能性が高くなっている」とし、これに伴い、もう少しPERや株価純資産倍率(PBR)が上がっても良いとみている。

TOPIXのROE推移

  日本の金融政策については、18年も変化なしをメーンシナリオとした半面、5月には政府のデフレ脱却宣言を巡る憶測が出やすいと予想。福島氏は、「日本は既に事実上デフレを脱却している。政府のデフレ脱却宣言が出ても企業の業績自体は変わらず、あくまでも象徴的なもの」との認識だが、「海外投資家には強いメッセージになる。全体的に日本株への魅力は増すシグナルになる」との見方も示した。

  有望な投資対象としてはグローバルでテクノロジー株と金融株を挙げたが、日本の銀行株は「配当利回りのバリューはあるが、業務純益はむしろ減少するなど前向きのストーリーに乏しい」と指摘。海外は金融でバリューを取るものの、「日本ではバリューは内需株、テーマ性のある中小型株で取ることになる。業績が良いモメンタム株とバリュー株のバランスというのが大事だ」と言う。さらに日本では、「金融より商社の方が良い。グローバル景気回復の恩恵やPERの低さ、配当利回りの高さが理由」とも話した。

  一方、日本株のリスク要因については、グローバル景気が想定以上に減速し、来期の企業業績が期待に届かなくなるケースのほか、現状の北米自由貿易協定(NAFTA)が維持されず、世界貿易が縮小方向に向かうケースなどを挙げている。

(最終段落にリスク要因を追記.)
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