グレンコアの豪石炭寡占化への懸念、JERAが公取委に伝達-関係者

  • JERAは他社と共同で公取委への意見書提出を模索したが実現せず
  • グレンコアは各国の承認を適切な時期に得る自信があると回答

石炭事業の拡張を進めるスイスの資源商社グレンコアが、オーストラリアの石炭鉱山の権益を11億米ドル(約1250億円)で取得する計画に対し、東京電力ホールディングスと中部電力による火力発電の共同出資会社JERA(ジェラ)は、寡占化が進むことへの懸念を日本の公正取引委員会に伝えていたことが明らかになった。

  複数の関係者によると、JERAは一時、他の電力各社と共同で公取委に意見書を提出することを模索したものの各社から十分な賛同を得られずに断念。グレンコアが7月に豪州での権益取得を発表した後、JERAは公取委に対して寡占化進展への懸念を表明した。

  グレンコアは7月に豪ニューサウスウェールズ州ハンターバレーオペレーションズ炭鉱の権益49%の取得で、中国のエン州煤業傘下のヤンコール・オーストラリアと合意したと発表。発電用燃料として使われる一般炭の鉱山の寡占化に対する日本の電力会社の懸念を受けて公取委がグレンコアによる権益取得を問題視すれば、石炭事業の規模拡大を目指す同社にとっては打撃となる。

  ブルームバーグの取材に対し、JERA広報担当の谷川亮氏はコメントを控えた。グレンコアは、日本や中国、韓国、台湾などの国々で適切な時期に承認を得る自信があると電子メールで回答した。公取委はグレンコアの豪州石炭権益の取得について審査を行っているかどうかを含めてコメントを控えた。

価格交渉で支障生じる恐れ

  経済産業省は、11月にJERAや新日鉄住金、三井物産などを集め、非公開の会合「石炭マーケット研究会」を開催。同会合で配布された資料によると、グレンコアによるハンターバレーの石炭権益の取得が完了すれば同社の豪州一般炭輸出に占めるシェアは3%程度上昇し、29%となる見込み。

  経産省は同資料の中で「日本は一般炭輸入量の76%を豪州に依存しており、今後も寡占化が進めば価格交渉で支障が生じる恐れがある」と指摘している。

  過去には、2010年に鉱山大手の英豪系BHPビリトンとリオ・ティントの鉄鉱石事業の統合計画について、日本の公取委が市場競争が制限される恐れがあると表明。ドイツ当局も統合に反対する姿勢を示し、同計画は断念に追い込まれている。

  グレンコアは7月の権益取得発表時、取引には独占禁止法当局からの承認が必要になるとした上で、6カ月以内に取引を完了できるとの見通しを示していた。

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