暖房使えず凍える中国の農村-習氏1強のリスク浮き彫りに

  • 習氏の指示に忠実な当局者-石炭の使用禁止も肝心のガス供給されず
  • 暖房の燃料不足、貧困層の生活向上を掲げる習氏の公約損なう恐れ

中国北部の凍えるような風がリウ・イングアンさんの家屋の一枚ガラスの窓の隙間から漏れた。それでもキッチンに設置したガスヒーターは使われていなかった。肝心のガスが供給されていなかったためだ。

  リウさん(59)は北京の南に位置する農村、礼讓店に住んでいる。中国共産党が同地域のスモッグ緩和に向けて石炭の使用を禁止してから数カ月、他の住民もガスの供給を待ち続けた。夜には気温がセ氏マイナス9度まで下がり、8歳の孫が眠れないとリウさんが地元当局に訴えても、1人の当局者は「辛抱強く待ちなさい」と答えるだけだった。

河北省の住居で暖房用に石炭を燃やす男性

写真家:Ng Han Guan / AP写真

  当局は今月に入り最終的に方針を転換し、住民が再び石炭を燃やすことを認めた。だが、15日に礼讓店を訪れた際もリウさんの怒りは収まっていなかった。

  リウさんは「ここにいる一般住民は社会の底辺だ。農民が最低で、共産党が最上位だ」と話す。

  習近平総書記(国家主席)が10月の党大会後2期目に入り、環境汚染に厳しい姿勢で臨む方針を示して以降、最大の政策転換による影響を真っ先に受けるのはリウさん一家のような人々だ。ガス供給先を見つけることが難しく、一元化したガスパイプライン網に村々をつなぐことが困難となり、撤回を余儀なくされるまで全土の当局者は石炭の使用を忠実に禁止した。

  習氏が中国の巨大な官僚機構を通じた改革に向けて権力固めを進める中、今回の出来事は潜在的な落とし穴を浮き彫りにしている。変革は時にあまりに速いペースで起きる可能性がある。所得が比較的高い北京の住民はきれいになった空気を吸う一方、暖房の燃料不足は貧困層の生活を向上させるとの習氏の公約を損なう恐れがある。

  調査会社トリビアム・チャイナの共同創業者、アンドルー・ポーク氏(北京在勤)は「人々は今、中央の命令を実行することに躍起だ」と指摘。「かつては実行不足が問題だったが、今ではやり過ぎが問題になっている」と述べた。

原題:Freezing Chinese Villagers Show Perils of Xi’s Unrivaled Power(抜粋)

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