北朝鮮の核攻撃抑止へ、「報復能力も必要」-中谷元防衛相

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  • 日本が導入予定の長距離ミサイル、敵基地攻撃への転用可能-中谷氏
  • 小野寺防衛相は「わが国防衛のため」と説明-長距離巡航ミサイル

Pedestrians walk past a television screen broadcasting an image of North Korea Leader Kim Jong Un during a news program reporting on North Korea's missile launch in Tokyo, Japan.

Photographer: Keith Bedford/Bloomberg
Photographer: Keith Bedford/Bloomberg

自民党の中谷元・元防衛相は政府が導入を目指す長距離巡航ミサイルについて「やむなく必要とあれば、能力的には北朝鮮の基地に対して攻撃をする可能性もあり得る兵器だ」と述べ、敵基地攻撃への転用も可能との認識を示した。

中谷氏

Photographer: Nicky Loh/Bloomberg

  中谷氏は19日のインタビューで、北朝鮮は体制を維持するため核・ミサイル開発を「断念しないだろう」と指摘し、実際に核を使用しないよう日本が独自の「報復能力を持つことも必要」だと語った。攻撃を受けた場合に反撃することは「国の防衛力の一つとしては必要」であり、専守防衛に反するものではないとも述べた。

  防衛省は3種類の長距離巡航ミサイルの導入を目指している。射程は最大で約900キロ。技術的には北朝鮮に到達可能だが、小野寺五典防衛相は8日の記者会見で「あくまでわが国防衛のため」であり「敵基地攻撃を目的としたものではない」と説明した。

  自民党は3月、北朝鮮の挑発行為は「到底看過できないレベル」に達したとして、「巡航ミサイルをはじめ、わが国としての『敵地反撃能力』を保有すべく、政府において直ちに検討を開始する」とした提言を政府に提出した。中谷氏は自衛隊は専守防衛に徹し、敵を攻撃する能力は米軍に依存してきた日米同盟の基本的な役割分担は変えないものの、「政府としても脅威や危機に対応すべきだ」と指摘した。

  産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が16、17両日に実施した合同世論調査によると、長距離巡航ミサイルの導入に前向きな回答は68.5%。使途に関しては「離島防衛などでの利用に限るべきだ」が34.3%、「場合によっては、敵のミサイル発射基地などの攻撃に使用してもよい」は34.2%だった。

憲法改正

  中谷氏は60歳。防衛大卒業後、陸上自衛隊を経て1990年の衆院選で初当選。現在10期目で、防衛庁長官、防衛相などを歴任した。現在は党安全保障調査会長や憲法改正推進本部長代理を務めている。

  自民党が改憲項目の一つに検討している自衛隊の明記について、「自衛隊が憲法違反であると言われなくなるような手続きが必要」と意欲を示した。ただ、国民投票を行う以上は「失敗は許されない」と述べた。

  憲法改正の発議には衆参両院で3分の2以上の賛成が必要。自民、公明両党は衆院で3分の2超を占めるが、参院では一部野党の協力が不可欠だ。中谷氏は憲法改正について「ある時期を目指してやっていくというのは大事なこと」と明言。「日本維新の会」など野党の改憲勢力が一定の議席を持っている「今の時期しかないと思う」とも語った。

安倍首相

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  安倍晋三首相は19日、内外情勢調査会の会合で、改憲は「スケジュールありきではない」としながらも、東京五輪が開催される2020年を「日本が大きく生まれ変わる年にするきっかけとしたい。新しい時代の幕開けに向けた機運が高まる時期であるからこそ、憲法について議論を深め、国の形、在り方を大いに論じるべきだと」と語った。

  自民党は20日、憲法改正推進本部の会合を開き、これまでの議論の論点整理を文書で取りまとめた。自衛隊に関しては現行の9条1項、2項を維持した上で憲法に明記する案と戦力の不保持を定めた9条2項を削除し、「自衛隊の目的・性格をより明確化する改正を行う」べきだとする案の両論を併記した。国会発議に向けては、各党各会派から具体的な提案があれば「真剣に検討するなど、建設的な議論を行っていきたい」としたが、目標時期は明示しなかった。

(最終段落を追加します.)
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