米金融市場活況の陰で広がる格差-税制改革でも是正見込まれず

  • 金融危機後の市場のV字回復、実体経済は置き去りに
  • 失業率低下でも賃金の伸びは緩慢、資産価格急上昇にはとても及ばず

The American flag flies at the U.S. Capitol in Washington, D.C.

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

米金融市場にとって、グレートリセッションはもはやバックミラーに映る小さな点のような存在だ。相場は2008年の金融危機前の水準を大きく上回っている。実際、ゴールドマン・サックス・グループは、08年から1世紀前にさかのぼっても、現在のように「何から何まで強気の相場」は見当たらないと指摘した。

  実体経済がこうした金融市場と同じように勢いを盛り返していれば、トランプ氏は昨年の大統領で当選していなかったかもしれない。実情は悪戦苦闘といったものであり、失業率は約20年ぶりの低水準に改善しているが、賃金の伸びは過去の基準に照らして緩慢で、資産価格の急上昇には到底及ばない。

  より良い雇用と賃金上昇の実現を公約に掲げて当選したトランプ氏は、政府が景気押し上げに使える手段としては最強である財政政策の発動に踏み切ろうとしている。共和党主導の計画で法人税率が引き下げられて米企業は活気を取り戻し、誰もが恩恵を受けると立案者は主張する。

  繁栄時はあまねく潤いにあずかることになるが、現在の米国ではそれが平等に行き渡るわけではない。民主、共和いずれの政権下でも、回復はますます偏ったものとなってきた。現行の景気拡大で何百万人もが職を見つけることができたが、一般の労働者よりもずっと潤ったのは資産の所有者だ。

  既に先進国で最も不平等な米国の所得分配は一段とその度合いを増している。そしてそれはお金の使い方や選挙にも影響し始めている。

  ポトマック・リバー・キャピタルの創業者兼最高投資責任者(CIO)、マーク・スピンデル氏は「現代を特徴付けるのは政党や階層、所得による格差拡大だ。税制法案に事態改善につながる要素は一切見当たらない」と語った。

原題:How America’s Inequality Machine Is Firing the Dow Into Orbit(抜粋)

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