2018年のドル円予想、105~120円と分かれる

  • 強気派は米国の好景気継続と順調な米利上げ軌道を想定
  • 弱気派は米金利逆イールドや日銀スタンスの変化を警戒

A Japanese 100 yen coin and 10,000 yen banknotes

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

2018年のドル・円相場は、引き続き主要テーマとなる米国の経済・金利動向に関する見方の強弱を反映し、市場関係者の年末予想が1ドル=105円から120円と分かれている。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、来年は米経済が複数回の利上げを継続できる基調を維持するかが最大のポイントで、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策正常化が米株の値崩れや世界経済の不安定化などを引き起こさない限り「ドル高圧力が出てくる」と予想。「日銀緩和の円高バックストップ効果との合わせ技」で年末119円までのドル高・円安を見込む。

  米利上げは今年3回と過去2年の年1回から加速。米連邦公開市場委員会(FOMC)が先週公表した最新の経済予測では18年の成長率予想を引き上げる一方、インフレ予測は変更せず、来年の利上げ回数の予測(ドッツ)は従来の3回を維持した。

  野村証券の池田雄之輔チーフ為替ストラテジストは、世界経済加速でドル・円が年前半にも120円に到達すると予想。最大の注目は「ドッツ引き上げの可能性」とした上で、米利上げ想定が4回となる可能性が高まり、ドルが125円に向かう展開になれば「日銀が円高リスクを恐れずに金融政策正常化を打ち出す可能性があり、結果的に戻される」とし、年末は120円を見込んでいる。

  一方、三菱東京UFJ銀行は年末107円を着地に最大104円までドル安・円高が進む可能性を想定する。グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは、金融政策正常化で年後半に米景気の息切れ感が出る上、日本では対外証券投資フローの減少や日銀スタンスの変化、賃上げや物価上昇の不発による実質金利上昇が円高材料になると説明。日銀については「少なくとも長期金利0.1%で無条件に指し値オペというスタンスからはもう少し長期金利が上がる方向を容認してくる」と読む。

  米国の長期金利低迷や利上げによるドル調達コストの上昇を背景に、国内投資家による外債投資の勢いは鈍化しつつある。米2年債と10年債の利回り差は10年ぶりの水準に縮小した。

  みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケットエコノミストは、「米利上げの終点」の水準が切り下がる中、それが長期金利の天井となり、「18年後半には米長短金利差が消滅する」と予想。景気後退の兆しとされる逆イールドにより米株が急落するリスクが視野に入っても、「ドル・円を買うのかというのが来年のテーマ」と指摘する。対外証券投資の減速などで日本の基礎的需給も円買い超過に傾いており、年末105円までドル安・円高が進むとみる。

【他の市場関係者の予想】
◎ドイツ証券・田中泰輔チーフ為替ストラテジスト:年末120円

  • 米利上げは来年4回、19年3回の見通し。そこまでの利上げを単純に織り込むことはできず、ドル・円は115円から120円の間を繰り返しつっかけるイメージ
  • 最大のリスクは米国、中国のインフレが思ったより早めに進む展開になった時

◎ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の村田雅志通貨ストラテジスト:9月末118円

  • 金融政策のダイバージェンスはワークするものの、米国のアグレッシブな正常化は期待しにくく、特に来年前半はドル買いのペースがゆっくりにならざるを得ない
  • びっくり予想の一つは米国の2%の物価目標が1%目標に下がること

◎シティグループ証券の高島修チーフFXストラテジスト:年末113円

  • 中短金利上昇でイールドカーブがフラット化しても、円のリターンが低く、かつ米金利の絶対水準が期待リターンを上回っているときは為替リスクをとってでも米債に行こうかという話になりやすい
  • 年内に120円程度まで行くとみているが、中間選挙の前後で下落する可能性

◎JPモルガン・チェース銀行佐々木融市場調査本部長:年末112円

  • 景気が良くてボラティリティが低いときにはドルはファンディング通貨になる
  • 今年同様、ドルも円も弱いが、日銀の金融政策微調整による日米長期金利差縮小、北朝鮮問題や日米貿易摩擦などの政治リスク、歴史的にかなり割安な円の水準などからドル・円の上値は徐々に切り下がる

◎HSBC証券マクロ経済戦略部の城田修司部長:年末108円

  • 年前半は現状程度の横ばい圏、年後半は日米金利差縮小を主因にドル安円高が進行
  • 米利上げは来年3月と9月、19年3月で終了。ゼロ%の自然利子率を勘案するとそれほど利上げできない。日銀の量的緩和の限界がますます明らかになることで日本の長期金利に上昇圧力かかりやすくなる
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