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来年の国債購入40兆円台、長期金利引き上げ予想4割-日銀サーベイ

  • 12月会合は調査対象44人全員が現状維持を予想
  • 日銀は「静かなる正常化」を目指す-三井住友信託銀行の花田氏
A pedestrian walks past the Bank of Japan (BOJ) headquarters in Tokyo, Japan.

A pedestrian walks past the Bank of Japan (BOJ) headquarters in Tokyo, Japan.

Photographer: Akio Kon/Bloomberg
A pedestrian walks past the Bank of Japan (BOJ) headquarters in Tokyo, Japan.
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

日本銀行が年間約80兆円を「めど」としている長期国債の買い入れ額(保有残高の増加額)は、来年には40兆円台まで減少すると予想されている。長期金利目標が引き上げられるとの見方も全体の4割に達した。ブルームバーグ調査で明らかになった。

  11-14日にエコノミスト44人を対象に調査した。20、21日に開く金融政策決定会合は全員が現状維持を予想。今年は10日時点で約60兆円となっている長期国債買い入れ額の来年の増加幅は、平均すると44兆円まで減少するとみられている。金融引き締めの手段として0%を操作目標とする長期金利を引き上げると回答した33人のうち、時期を来年としたのは17人(全体の39%)だった。

  三井住友信託銀行の花田普調査部経済調査チーム長は調査で、日銀は来年、円高などを招かないよう市場の反応をうかがいながら国債買い入れ額を減らし、長期金利誘導水準を引き上げていく「静かなる正常化」を目指すと予想している。

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  明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは「来年の国債買い入れ額は20ー30兆円程度まで減少する可能性があり、『80兆円めど』と言い続けることがますます難しくなる」と指摘する。UBS証券の青木大樹日本地域最高投資責任者(CIO)は30兆円程度まで減少し、新規国債発行額との関係から、しばらくこの水準を維持するとみる。

  ETF(指数連動型上場投資信託)買い入れの縮小観測も徐々に出ている。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「インフレ率の水準に関わらず、株価の高騰が続けば減額があり得る」と予想。法政大学大学院の真壁昭夫教授も「景気の回復が続く場合は減額される可能性がある」との見方を示した。

リバーサル・レート

  黒田東彦総裁は先月、低金利が金融仲介機能を阻害し緩和効果をそぐ「リバーサル・レート」のリスクにも注意したいと述べた。複数の関係者によると、緩和縮小を訴えた木内登英前審議委員の後任の片岡剛士審議委員が追加緩和を主張し、出口論は時期尚早としてきた日銀も追加緩和は不要との説明を前面に出さざるを得なくなっている。

  ソニーフィナンシャルホールディングスの菅野雅明チーフエコノミストは「金融機関の利ざや縮小に伴う金融緩和効果への悪影響に配慮した政策運営が求められる」と指摘。長期金利目標を引き上げ、イールドカーブ(利回り曲線)のスティープ化(長短金利差の拡大)を容認する方向に進むとみる。

  野村証券の松沢中チーフ金利ストラテジストは「18年7-9月」に長期金利目標を0.25%に引き上げると予想。RBS証券の剱崎仁シニアエコノミストは、年後半からコア消費者物価が1%を小幅に上回る状況が続く中、金融機関に対する低金利への悪影響に配慮し「19年4月」に0.1%への引き上げに踏み出すとみている。

追加緩和観測は沈静化

  追加緩和観測は沈静化したままだ。東海東京調査センターの武藤弘明チーフエコノミストは「物価見通しは展望リポート発表ごとに順繰りに下方修正されるが、一方でリバーサル・レートの議論もあり追加緩和のハードルは高い」と指摘する。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは、黒田総裁が続投なら現在の枠組みが維持され、「2%達成時期が後ずれしても、リバーサル・レート論に照らし追加緩和には踏み切らない」とみる。同総裁や日銀出身者以外が任命された場合、19年度の達成を目指し、追加緩和や新たな枠組みが導入される可能性があると分析した。

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