ギリアドの画期的新療法、がん患者で手が届くのはわずか-問題は保険

  • 「イエスカルタ」が承認されてから2カ月-新療法を受けたのは5人
  • 最大の問題はメディケアなど中心とした保険とビショップ氏
Photographer: David Paul Morris/Bloomberg

米バイオ医薬品メーカー、ギリアド・サイエンシズによる血液がんの一種である再発性の非ホジキンリンパ腫患者向けの画期的新療法「イエスカルタ」が米国で承認されてから2カ月。この高額医療を実際に受けたのはごく少数にとどまり、治療をひたすら待つ人も多い。

  ギリアドの治療法を行うことが米国で認められている15カ所のがんセンターがブルームバーグに回答したところによると、新療法を受けたのは5人。37万3000ドル(約4200万円)かかる同療法を待っている患者のリストは少なくとも200人に増え、減るのは重病の患者が死亡してリストから外れたときくらいだ。

  入院費用や診療費などを含めた全体のコストは患者1人当たり57万5000ドルを大きく上回り、100万ドルに達する可能性もあると医師らは話す。

  イエスカルタはキメラ抗原受容体T細胞(CAR―T)療法と呼ばれる新たながん治療法で、患者から免疫細胞を取り出してこれをギリアドの施設で操作し、それを体内に戻して腫瘍を攻撃する仕組み。

  イエスカルタを行うことが認められている先進的な病院の一つ、シカゴ大学病院の同細胞療法プログラムのディレクター、マイケル・ビショップ氏は「最大の問題はメディケア(高齢者向け医療保険)とメディケイド(低所得者向け医療保険)を中心とした保険だ」と話す。

  こうした支払いの問題により、各病院は何百万ドルもの治療費をリスクにさらすのか、治療候補があるにもかかわらず余命が短い患者に待ち続けるよう求めるのか選択せざるを得なくなっている。

  これはギリアドにとってもイエスカルタの売上高が市場予想を下回る公算が大きくなることを意味する。アナリスト予想では2017年の同療法の売上高が940万ドルと見込まれており、これを達成するには向こう2週間でさらに約20人の患者を治療する必要があることを示唆している。請求手続きを行うメディカルセンターの報告を踏まえると、非現実的なように見える。

  ギリアドの広報担当者ソニア・チョイ氏は電子メールで、同社は患者の約3分の1がメディケア対象と見込んでおり、「アクセス支援に向けて全力を尽くすべく積極的にメディケアと関わっていく」と説明した。

  メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)の担当者からコメントは得られていない。

原題:Patients Die as Breakthrough Cancer Drug Reaches Only a Few (1)(抜粋)

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