楽天の勝負一手に市場が厳しい視線、株価正念場-競争懸念の通信続落

  • 楽天株は一時1011円と1年半ぶり安値、下値抵抗線の1000円に迫る
  • 情報・通信株は業種別下落率1位、KDDIに売り判断の動きも

三木谷浩史氏

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

携帯キャリア事業に新規参入する楽天に対し、株式アナリストらは一様に厳しい見方を示している。基地局設置など設備投資に2019年のサービス開始時で2000億円、25年には最大6000億円と巨額の投資負担が発生するほか、既存の通信各社と互角に戦えるかどうか、不安視する声も上がる。

  楽天株は携帯事業への参入が明らかになった14日の取引で、4.9%安の1084.5円と急反落。15日も開始直後から売りに押され、一時6.8%安の1011円と2016年6月28日以来、1年半ぶりの安値に沈んだ。過去5年のチャートを見ると、節目の1000円が下値抵抗線となってきたため、現状の株価レンジを維持できるかどうか、正念場を迎えている。

  クレディ・スイス証券の米島慶一アナリストは楽天について、2000億円程度の設備投資が発生する見込みのため、サービス開始当初の20年は営業赤字となる公算が大きく、200億ー300億円程度の赤字の可能性があるとの見方を示す。JPモルガン証券の森はるかアナリストは、「楽天モバイル」でグループシナジーを生かし、ユーザー拡大に手ごたえを感じる現状から、さらなるモバイルユーザーの拡大に向け今回の意思決定に違和感はないとしながらも、「当面の設備投資負担や新規ユーザー獲得コストなどを考慮すれば、短期から中期業績へのネガティブな影響は避けられない」と分析。また、大手キャリアと「互角に戦うことの勝算も決して高いとは言えず、当面は株価の重しになる可能性が注視される」としている。

  みずほ証券の岩佐慎介シニアアナリストは、「楽天市場」や「楽天カード」など既存の楽天経済圏が高い成長性を保ち続けることが不可欠だと課題に言及。株価下落は国内電子商取引(EC)の成長性や収益性が鈍化していることへの懸念が払拭(ふっしょく)されないまま、リスクある新規分野への大型投資が嫌気されているとの見解を示した。楽天については、マッコーリーキャピタル証券が14日、「アウトパフォーム」から「中立」に、CLSAは「アウトパフォーム」から「アンダーパフォーム」に引き下げた。

  一方、楽天の参入で携帯電話業界の競争激化が一気に高まり、KDDIが一時6.6%安の2924.5円と9月15日以来、3カ月ぶりの安値に大幅続落。NTTドコモは5.4%下落の2663円とチャート上の窓を開けて連日安、ソフトバンクグループも3%安の8874円とほぼ3カ月ぶりに9000円を割り込んだ。東証1部33業種で情報・通信は3.2%安と下落率断トツ。ドイツ証券はKDDIとドコモの投資判断を「ホールド」から「売り」に下げている。

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